音をはづす恋のうた声猫鴉 亜紀子
ゆく年 亜紀子
落葉降りしきる歳末ジャンボくじ
将軍塚めぐる小径の霜ゆるぶ
外套に講の半袈裟しまひけり
睨めらるる寒さひとしほ青不動
霜晴れやはつか雲おく京五山
冬木の芽つばらに響く護摩太鼓
葛焼きの熱きが甘き新小豆
手も足も五体総身着ぶくるる
つとひらく心氷雨に目白きて
冬将軍小庭荒して征きにけり
うすうすと世を隔つかに薄氷
ひとり居て日がな古屋の隙間風
何を為すともなく暮れし柚湯かな
大年やふるさと遠く暮れにけり
ゆく年や時雨にぬれし月の道