橡の木の下で

俳句と共に

草稿07/31

2009-07-31 06:59:10 | 一日一句
青き野や生れしときもかく一人  亜紀子

決断をしなければならない時、困難な。
できうれば他人に代って欲しい。
否、自ら決めねばならない。

自分ひとりではないはずだ。
人は誰もみな、そういう時の上を歩いたことがあるはずだ。
長い梅雨の街に擦れ違う顔、また顔。



草稿07/29

2009-07-29 21:08:01 | 一日一句
ひとつ鳴き夜明けて揃ふ蝉の庭
顔に出でし夏の衰へ見られをり
              亜紀子

今年は冷夏で、昨年のような夜昼かまわず鳴き続ける蝉はいないようだ。それでもまだ真っ暗な夜中のうちからぐずぐずと鳴き始めるものもある。ひとつ鳴き出してから日の出までは結構な時間差だった。

偶然に相次いで久しぶりに出会った友人二人。多くは語らずただにこにこと懐かしく擦れ違う。ほんの一瞬だったが二人とも驚きの表情を見せた。それほど久しく無沙汰であったろうか、はたと、壁の鏡を見る。ここのところの睡眠不足と、ことに昨夜はほとんど眠らなかったその疲れがありありと顔に出ていた。これに驚いたのかと、合点がいく。自分でもがっかり。

現実、経験を五七五に起こしていく、詠んでいく作業は、自分にとっては
マイナスの物事は落ち着かせ
プラスの事項はより確実で強固なものに変える
そういう作用があるようだ。




平21橡8月号

2009-07-28 17:09:00 | 一日一句
平21橡8月号

渠のごとき日々横たはる梅雨入りかな
南国の血筋陽気なつばくらめ
水無月の水の匂ひのしひの花
哀音や青葉をわたる夜の雨
雨よりも水木の花の密に降る
                 亜紀子

草稿07/28

2009-07-28 16:51:16 | 一日一句
身も蓋もなき述懐に長き梅雨  亜紀子

頭が滑らかでない作句意欲も湧いてこない日。買い物に出て傘の下、ふと「身も蓋もない」という言葉が浮かぶ。道々ずっとその語を転がしながら帰る。とりあえず一句になったものを書き留めておく。しばらく寝かせて取捨するか、さらに推敲するか。

草稿07/27

2009-07-27 14:43:12 | 一日一句
厭ひをる紙魚のかくまで艶やかに  亜紀子

自分の中の固定観念をちょっと崩される驚き。どんな小さな驚きでもいいので書き留めると、一句になることあり。

もっとも紙魚などというものは普通は無縁の生活環境だろうか。
紙魚そのものが常識の埒外であれば、紙魚を持ち出した時点ですでに驚きになる。
かといってまったく誰も知らぬものであれば一句にする甲斐はない。