橡の木の下で

俳句と共に

「花の宴」平成29年「橡」6月号より

2017-05-28 11:22:01 | 俳句とエッセイ

 花の宴    亜紀子

 

十二単こぞの襤褸より現るる

清掃隊往き来三分の花堤

鷹揚に鴉巣ごもる花のかげ

花の宴抜けて水鳴る五条川

かわほりも一さし舞へり花の月

山吹や林明るく水鳴れる

丸ひと日谷戸を離れぬ初音かな

灌仏の雨総身に老桜

櫛笄ひさぐ玻璃戸に花の冷え

前撮りの新婚花の辻ごとに

花過ぎの愁ひを額に若き日々

鼬出て葉桜の闇ざわざわと

春愁の眼をさますミントの芽

新緑や雨を歓ぶ池ひとつ

忽と来てついと帰る子蝶うらら