橡の木の下で

俳句と共に

「月のもと」平成26年「橡」12月号より

2014-11-27 09:00:47 | 俳句とエッセイ

 月のもと   亜紀子

 

行く先のどこも木犀香りをり

はたはたの蕗葉の屋根は穴だらけ

秋風やマリーナ裏に蜑の路地

ぺらぺら嫁菜御用邸裡に入るを得ず

浜に咲く小待宵草小さかり

そこばくの稲架かけに子も手を貸せる

漆黒のワイン葡萄の棚低し

覚めて聞く青松虫の四面楚歌

影を得て動くものなし月のもと

深秋や悩みにつどふ人の群

蝶も来て庭に羽干す台風過

杜鵑草尻尾をあげてこぞり咲く

木の実降る留学生寮けふひそか

秋果得し鵯のきりなき節まはし