をはりなき寒風の渦高楼下 亜紀子
黄落 亜紀子
掻きに掻き銀杏落葉の袋詰
はぜは実をたわわに吊りてアドヴェント
読み耽る石牟礼道子十二月
俄か寒気温予想を聞きてより
虚飾にも心をどりぬクリスマス
さざんかに風や浮き世に曲り角
銀杏枯る小さき火伏せの神祭
記憶保持ガムてふ噛んで師走かな
青鷺の眉一筆に冬枯るる
冬芹や水あたたかく湧くところ
鵤どち時雨のごとく声降らす
白々と広々と冬紫宸殿
町野けい子先生を送る
鴉にも喪ごころ見ゆる霜の朝
黄落や出棺の笛ひとつ鳴り
マロニエもその夜落葉を尽したる