濃き影を残してゆきぬ蝶の昼 亜紀子
弥生 亜紀子
老眼鏡とれば確かや芽吹き山
弥生富士白妙の身のやや細り
初音せり古紙くくりをる勝手口
薪ほど巣枝落してゆく鴉
北窓を開く四隣の親しさよ
いやおひの春後戻る震災忌
日々来る鶯路地に老いにける
道塞ぐ弥生をみなのマラソンぞ
若返る手指やよひの廚水
今朝も来る路地にうぐひす廿日まり
春光や鳳のごと鴉二羽
思ひ出の堰かれ溢るる春夕焼
紫のあてなる十ニ単かな
悼石倉美津子様
思ひ出の花の千里の朧かな
弥生 亜紀子
老眼鏡とれば確かや芽吹き山
弥生富士白妙の身のやや細り
初音せり古紙くくりをる勝手口
薪ほど巣枝落してゆく鴉
北窓を開く四隣の親しさよ
いやおひの春後戻る震災忌
日々来る鶯路地に老いにける
道塞ぐ弥生をみなのマラソンぞ
若返る手指やよひの廚水
今朝も来る路地にうぐひす廿日まり
春光や鳳のごと鴉二羽
思ひ出の堰かれ溢るる春夕焼
紫のあてなる十ニ単かな
悼石倉美津子様
思ひ出の花の千里の朧かな