瑞鳥かおほつごもりの鷹ひとつ 亜紀子
隙間風 亜紀子
母恋の旧き唱歌に秋惜しむ
晩秋の火色のドレスピアニスト
秋闌くや友垣つどふ並木路
火焚鳥はや切り火切る夜明け前
傾ける日になほ沸ける文化祭
木枯の一番乗りが窓たたく
百人町小春の軒の幾並び
百人町鳥も狙はぬピラカンサ
日だまりに思ひ出紡ぐゑのこぐさ
冬籠る思ひにはかやかき曇り
ふた三声して鶇来てゐるらしき
鯛焼や気圧配置もうらがへり
術なしにあちらこちらの隙間風
慰みに干したる柿のすぐ陰り
立浪草しぶき小さく返り咲く