銀の羽かたく閉ぢをり秋の蝶 亜紀子
夜念仏 亜紀子
走り穂や風一斉に田をわたり
書を積みて蝉の砦にこもるかな
八月やハワード・ジンに学ぶべく
夜の豪雨雷に雨脚照らさるる
ゆり咲いて猛暑の庭を慰むる
夕蝉や森の根方に日の落ちて
流星を見きと合宿の荷を解きぬ
手入よき峡の畑やおしよろ花
夜念仏待つ間ひぐらし鳴きつのり
盆の闇笠に凝りをる夜念仏
田かはづが鉦の間に鳴く夜念仏
念仏の果てて夜蝉の声もらす
畦照らす燭が頼りよ風涼し
山かひの古き踊に月ひとつ
月かげにをりをり跳んで虫の宴
即決の約にをみなの暑気払