小宴の子供つながり暑気払ふ 亜紀子
茅花 亜紀子
生り初めは紅の素直なかりんの実
アカシアの花散り春の埋れゆく
思ひ出の苦し茅花を噛んでみる
紫の夕べあふちのひとり咲く
雨風にあふ慣ひなり若葉季
下町や夜の声漏るる網戸越し
交はりのやさしく淡し薔薇の垣
豌豆を莢ごと茹でてつまみ食ふ
蝶眠るひと日過ぎたる安寧に
茅花より白し並んで新団地
頬白の好む明るき広き空
街川の夕日汚るる薄暑かな
満載の笑顔五月のアルバムは
論じあふ俄か予報士梅雨入り前
雨音に山の日思ふ梅雨ごもり