橡の木の下で

俳句と共に

「茅花」平成30年『橡』7月号より

2018-06-26 10:44:43 | 俳句とエッセイ

 茅花    亜紀子

 

生り初めは紅の素直なかりんの実

アカシアの花散り春の埋れゆく

思ひ出の苦し茅花を噛んでみる

紫の夕べあふちのひとり咲く

雨風にあふ慣ひなり若葉季

下町や夜の声漏るる網戸越し

交はりのやさしく淡し薔薇の垣

豌豆を莢ごと茹でてつまみ食ふ

蝶眠るひと日過ぎたる安寧に

茅花より白し並んで新団地

頬白の好む明るき広き空

街川の夕日汚るる薄暑かな

満載の笑顔五月のアルバムは

論じあふ俄か予報士梅雨入り前

雨音に山の日思ふ梅雨ごもり