石蕗に来て小さき蝶が時惜しむ
月寒く俄か宿りの黄蝶をり
亜紀子
秋にはか 亜紀子
秋にはかコロナ不義理を重ねつつ
自粛して半歩の庭に知る秋ぞ
四隣みな日照りの庭をかこちあひ
紫蘇は穂にばつたずんぐりよく肥えて
例年の触れは中止の秋祭
金水引名良し花良し増え過ぐる
福音のちらし一枚秋風裡
夢に見て露の花野をゆく鉄路
あめりかあさがほ青く小さく雨の中
確かむる日ごとまだきのあさがほを
覚めてすぐ飯食ふ若さ爽やかに
どの家も露の手すりを戸口まで
加齢性難聴域に虫しぐれ
下町や名月見ゆる筋へ出て
とく覚めて月のお下がりいただきぬ