秋蝶の肩で蜜吸ふ羽づかひ
逝く秋の瑠璃のひと色やぶめうが
亜紀子
馬の小鈴 亜紀子
たらちねの涙もろきに夏も過ぎ
のげしなり薊に似たる黄の花は
風の道芦原の秋進みゆく
蝲蛄の餌はするめなりすぐ掛かり
秋の野に駒のごとくに子ら放つ
秋光や名のみ伝はる渡しあり
うまおひの大き影あり夜の厨
大橡の全容見する黄葉かな
市民らの花壇の秋のたけなはに
西向いて夕日が好きなかりんの実
やや若き林檎の味の棗の実
残る蚊と眼中の蚊と飛び交へる
月を行く馬の小鈴か虫しぐれ
月の供花真夜の厨に穂をひらく
秋ついり鷺のうからの釣師かな