冷まじや月からめたる女郎蜘蛛 亜紀子
秋日和 亜紀子
一町の木犀ひらくひと日あり
肩触れて秋が隣りに木のベンチ
金風や祭の沙汰もひとめぐり
横丁に子供神輿の御成りなり
鋏の音けさやや鈍き松手入
柚子坊も肥ゆる日和の二三日
草刈るや初風の径生まれたる
信号も鳥の声出す鵙日和
風蘭や鈍き五感の夜は聡き
やうやうに蚊もしをらしくなりにけり
ほほゑみに微笑みかへし秋深む
芸術家若し大人し秋うらら
みぞそばや京白川に釣るは何
白川に釣るはじやこちふ秋日和
じやこちふはおひかはのこと鮠のこと