巣立子にひよどりの節聞きとむる 亜紀子
郭公や道はつらぬく野と雲を 星眠 (火山灰の道)
高原の一筋の道が白雲湧く空へと延び、彼方の森に繰り返す郭公の唄声。涼しさと緑の匂い、空気が格別である。
この地の自然の丸ごとを愛した星眠。掲句が墓石に刻まれた。 亜紀子・脚注
燕の巣暮れて雪渓せめぎ立つ 星眠 (火山灰の道)
岩燕の巣。飛び交っていた親鳥の姿も消え、今夕闇に包まれていく。一方雪渓は白く暮れ残り眼前に屹立。 若き星眠俳句は季重なりや述語の重なりなどまま見られる。その自然体、初々しく清心。 亜紀子・脚注