橡の木の下で

俳句と共に

「暖冬」平成28年「橡」2月号より

2016-01-27 10:39:11 | 俳句とエッセイ

暖冬  亜紀子

 

良き衣を着てつどひ来る針供養

蒟蒻の鎮座まします針供養

十二月八日の日差し雪蛍

暖冬のもみぢ狩なり渡月橋

水仙やどの路地行くも塵のなき

怪しかり師走なかばのこの温さ

熱演を終へて咳くツィメルマン

節々を風邪の神に操らる

暖冬の受験子いささ生温く

ぞろぞろと地下鉄を出る白マスク

三人四人煤逃げらしき日向ぼこ

徳川の雄松雌松の大飾

照ら照らと誰かれの顔初篝

軒を立つ雀の声や初旦

四日はやネクタイ締めて四十雀