橡の木の下で

俳句と共に

草稿06/27

2019-06-27 11:34:17 | 一日一句

梅雨青嶺負ふ薬園の静けさよ

薬園に素なる冷茶をもてなさる

真白なる花かかげをり蠅地獄

薬園のガイドの汗に蝶の寄る

涼しさやしだれ槐の花に触れ

パナマ草破れ葉をつづる暑さかな

熱中症注意しやぼんの木の下に

この夏は揚羽ばかりの小さき庭

亜紀子


「スクランブル」令和元年『橡』7月号より

2019-06-27 11:32:08 | 一日一句

  スクランブル    亜紀子

 

 

子供の日あがちちははの懐しき

かにかくに四季も乱れて今日立夏

抜きんでて風に祝がるる樟若葉

東京の不思議緑の釣堀は

ひとつづつ思ひ出灯る橡の花

宴果つる五月の夕日裾を引き

誰かれの一人に戻る夕永し

齧りしは誰か真つ赤な蛇苺

薔薇百花咲かせ主の寡黙なる

褪せもせで日ごとに積もる薔薇の塵

夏暁や雀も猫も屋根に出て

大仕事したかにひとつ蚊を打ちて

巣を狙ふ鴉に椋鳥のスクランブル

頭を高く並べ筍青二才

朝風に子を呼ぶ声音四十雀