衰ふる眼梅天なほ暗く 亜紀子
樟の花 亜紀子
なんぢやもんぢや五月の雪とまごうなり
竹熊蜂巣穴を穿つ顎強き
蟻どちの広場は青き蕗のかげ
噎せるよなジャスミン無為の昼下り
首立てて構への姿勢藪枯らし
母の日や絵文字ひとつのメール来る
燃え落つる夕日が好きなつばくらめ
夕暮は父母恋ふる水田べり
蝶の子の居るとも見えで食ひ荒す
雨来るか蘆切の唄前のめり
樟の花積り錆びたり雨がちに
熊蜂の花粉まみれの太りじし
草引きのやがて楽しく精の出る
一心不乱南天の花こぼす蜂
鶸の声暑くなるよと尻上がり