橡の木の下で

俳句と共に

「樟の花」平成29年『橡』7月号より

2017-06-27 11:52:53 | 俳句とエッセイ

 樟の花    亜紀子

 

なんぢやもんぢや五月の雪とまごうなり

竹熊蜂巣穴を穿つ顎強き

蟻どちの広場は青き蕗のかげ

噎せるよなジャスミン無為の昼下り

首立てて構への姿勢藪枯らし

母の日や絵文字ひとつのメール来る

燃え落つる夕日が好きなつばくらめ

夕暮は父母恋ふる水田べり

蝶の子の居るとも見えで食ひ荒す

雨来るか蘆切の唄前のめり

樟の花積り錆びたり雨がちに

熊蜂の花粉まみれの太りじし

草引きのやがて楽しく精の出る

一心不乱南天の花こぼす蜂

鶸の声暑くなるよと尻上がり