ど忘れや彼岸過ぎてもなほ暑く
もの忘る彼岸過ぎてもなほ暑く
亜紀子
秋蝶と薬草園をへ巡れる
爽やかにシニア集ふや花談義
爽やかに花好きシニア集ひくる
懐かしき棗の実とて立ち止る
柚子レモン蜜柑青きに蝶の舞ふ
牛蛙声なき池の桐一葉
亜紀子
飯田線 亜紀子
来ては去る蜂の極秘の巣のいづこ
響きをり朝の熊蟬太鼓腹
涼やかやめうがの花のうすごろも
蚊の退治ひと日とんぼが来て呉るる
夕空に季のうつろひ広島忌
飯田線臭木の花の見頃なる
秘境線いよよ緑の山かひへ
涼風に蝶吹かれとぶ無人駅
顔上げて汽車に手を振る水遊び
峡の家の人住む気配星祭
この暑さ平気平左の蝶とんぼ
藻畳に時の死したる昼下り
かはほりも感に堪へたる大夕焼
省みずまたも八月十五日
反省お猿のやうに終戦日
なぜ縋る葉月だだ漏れ核の傘