夕やけの道ゆく人の秋の影 亜紀子
蓑虫庵 亜紀子
伊賀人の梅雨の灯に守る辻地蔵
苔厚きつくばね樫も梅雨の庵
蓑虫の庵二間に半夏雨
黒づくめ鴉幼し忍者村
俳聖を祀る堂裏青時雨
梅雨すずめ代り番こに餌をもらふ
ぱつと咲く恐れ入谷の団十郎
釣果なき子も楽しげや梅雨夕焼
蚊の声や白骨を聴く頭を垂るる
訃音あり夏草に風立ちにける
体操へあさがほの路地往き来して
下宿子のかよふ間道葛暑し
熊蟬の一樹に天地沸きかへる
黄昏や蟬もセンチな蟬ばかり
蚊に負けて草にも負けて二三日