橡の木の下で

俳句と共に

「春どなり」平成30年『橡』5月号より

2018-04-27 11:34:20 | 俳句とエッセイ

  春どなり  亜紀子

 

横丁の鉢ころげくる春疾風

気の早きクロッカスなり先づ一花

冬すみれ弥生となりてこぞり咲く

まり溜りあるは鴉の巣組むらし

幼らの会話ぴちくり春どなり

良き日和つづきに目白来ずなりぬ

初音なり早谷渡る節もつき

住み旧るや軒までとどく雪柳

雨後の庭十薬の芽を目の敵

磯鵯の来て街中に囀れる

碇草苫舟ならむ花小さき

春眠の軒端をはやす鵯雀

うらら日の連れは小犬の男のこどち

ことごとく地の花小さし春意満ち

囀や日陰の庭も生きかへり