ひとつばたご今年緑の葉勝ちなり 亜紀子
春どなり 亜紀子
横丁の鉢ころげくる春疾風
気の早きクロッカスなり先づ一花
冬すみれ弥生となりてこぞり咲く
まり溜りあるは鴉の巣組むらし
幼らの会話ぴちくり春どなり
良き日和つづきに目白来ずなりぬ
初音なり早谷渡る節もつき
住み旧るや軒までとどく雪柳
雨後の庭十薬の芽を目の敵
磯鵯の来て街中に囀れる
碇草苫舟ならむ花小さき
春眠の軒端をはやす鵯雀
うらら日の連れは小犬の男のこどち
ことごとく地の花小さし春意満ち
囀や日陰の庭も生きかへり