もともとミステリーものの小説やドラマが好きな自分である。今でも、松本清張は最高のミステリー作家だと思っている。しかし、最近読んだ本の中で、この『13階段』は久しぶりのヒットだった。
本を手にしたときに、10年以上前に映画化されて話題になったことを思い出した。題名から死刑に関することなんだろうなという思いを抱いた記憶はあるが、映画を見ることも、本を読むこともなかった。
最初は重い感じだったが、読み進めて行くうちに、奇想天外とも思えるストーリーと、しっかりとした取材・調査に基づいた、死刑制度・冤罪・改悛の情・報復など、さらに、刑務官の仕事内容・囚人の心情・刑場での一連の流れ等も勉強になり、興味深く読ませてもらった。後半は面白くて、一気に読み進めてしまった。予想すらできなかったどんでん返しとも言える結末に、この作者のストーリー構成の素晴らしさに感心してしまった。
ストーリーは、2年前に人を殺め服役していた青年とベテラン刑務官が、10年前に起こった冤罪の可能性がある事件の真相を解くというものであるが、死刑制度を含めた刑の重みや刑務所の機能(服役者の更生)などがテーマとなっている。
高野和明のデビュー作だが、読んだ後、宮部みゆきが解説を書いているのにも驚いた。第47回江戸川乱歩賞受賞を選考委員の満場一致で受賞したことのこと。2001年に講談社から発行され、40万部を売り上げ、乱歩賞受賞作品の中でもっとも速く高い売り上げ記録を達成しているとのこと。
さすが、それだけのことはあると、改めて感心してしまった。今度、この作者も作品を読んでみたいと思った。
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