こんこんと水が湧き出る赤沼。周囲60mの沼だが、水面は浮き苔に覆われて、沼全体は見えない。
GPSトラックログ
当初は、自宅から歩いて袴腰岳~横津岳~函館新道~自宅のコースを12時間の予定で循環縦走するつもりでスタートした。しかし、赤川林道の橋の架け替え工事のため橋がないので、赤沼探訪に切り替えた。結果、27kmの道のりとなり、徘徊老人を警察に引き渡すまでの40分を入れて、8時間のロングウォークとなった。歩数計は約45,000歩だった。
「赤沼」は、周囲60mの多くの伝説に彩られた神秘的な湧水沼である。函館市の水源の一つでもある。信仰の対象となっていて、「竜神様」「悲恋の涙」「雨乞い」「オサンゴ」「大蛇」など多くの伝説もある。水そのものはとても綺麗で、アイヌの人々は「ワッカベツ(きれいな飲み水の川)」と呼んでいたそう。
赤沼の名は赤土によって水が赤く黄ばんで見えるので生まれたとのこと 数年前までは、毎年、中野ダム公園の手前にある赤沼本山妙要寺の「うしみつ参り」が行われていたが、現在は中止になったままだそうだ。そのせいか、以前(2007年)に訪れた時より、周囲が荒れ放題になっていた。
なお、赤川林道を挟んだ近くには白沼もあり、こちらも信仰の対象となっている。
4:45自宅をスタートし、赤川通りを北上する。
◎徘徊老人保護のハプニング
1時間半ほど歩き、下赤川あいの里前バス停を過ぎた辺りで、上の方から歩いてくる老人(自分より若かった)に「今何時ですか?」と声を掛けられた。時刻を教えると、今どこにいるのか全く分からないとのこと。足はサンダル履きで、背中には小さなリュック。どこから来たのか、どこへ向かうのか、聞いても分からないと答えるだけ。「まっすぐ歩いて行けば、市街地に出ますよ」と行ったら、「もう歩けない、パトカーを呼んでほしい」とのこと。
車の免許証を取り出して、こちらに差し出す。住所は時任町になっている。昭和25年生まれの方だった。
たまたま、携帯に中央署の電話番号が入っていたので、事情を話し、パトカーを向けて欲しいとお願いする。バス停の休憩所でパトカーの到着を待った。
身なりもこぎれいだし、会話も成立する。しかし、記憶的なことを尋ねると「分からない」「忘れた」と答える。それでも、退職前の勤め先を聞いたら、マツダの車の会社だったそうだ。
この時点では、記憶喪失なのかと思っていた。それにしても、時任町からこの時間にここにいるということは、夜中も歩いていたはずだが、それも分からないと言う。今日の月日を尋ねられて教えたら、「8月?8月なのにこんなに寒いの?」とも言う。
30分以上待って、ようやくパトカーが到着した。警察によると、昨日ももっと奥の方で保護されたとのこと。いわゆる徘徊老人らしい。パトカーを呼んでくれとか、免許証を見せるという知恵は、これまでの経験から身に付いたものなのかもしれない。
自分も、家にじっとしていられなくて、あちこち徘徊している老人である。徘徊老人が徘徊老人を保護したという笑い話にもならない結末・・・自分の行く末を見ているような暗い気持ちになった。
◎40分ほど無駄足を踏んだが、気を取り直して歩き始めた。
7:20、赤沼本山妙要寺前を通過。この寺は大阪市北区に道場を持つ大道妙要法尼が、大正9年から赤沼で長年に渡って修行をして、昭和9年にここに建立した寺。
この寺の歴史に関する興味深い「あかぬまさん縁起」はここをクリック!
新中野ダム公園から、ダムの上へ向かう車道を登って行く
7:45、昨朝までの大雨で、濁った水が貯まっている新中野ダムを眺める
その少し先に飯場があり、赤川林道の橋の架け替え工事をしていて、ゲートから先は通行止めとのこと。
関係者に聞いたら、橋もないので歩いても行けないとのこと。
ゲートの手前で川を渡渉すれば、別の林道からも行けるので、それも考えて先へ進んだ。
しかし、ダムの先へ進んで、林道沿いの亀田川を見たら、とても裸足で渡渉できる水量ではない。
この時点で山は諦めた。そのまま引き返すのも癪なので、赤沼探訪に目的を変えた。
8:05、赤川林道から赤沼参拝道へと進む。
まもなく、桔梗のタタラ沢林道との分岐に到着。帰りは、そちらへ下りることにして、先へ進む。
以前は、車でもMTBでも走れた林道だったが、非常に荒れた状態の林道になっていた。
9:05 ちょうど1時間の林道歩きで、赤沼への分岐に到着。右が赤沼へ。
9:10、かろうじて立っている鳥居を潜って下りて行くと、赤沼が現れる。
11年前に来た時は、きれいだった礼拝所も崩れていた。今では訪れる人もほとんどいないようだ。
吸い込まれそうな沼の底からこんこんと湧く水
物凄い量の湧水が流れ出て、この先の赤井川へと合流している
沼の西側の踏み跡を辿って行くと鳥居があり、その先の赤沼神社の社は倒れていた
戻ると、左手の小高い所に建物がある。
戸を開けて中を覗いたら、石仏が数体祀られていた。ここは、赤沼本山妙要寺の奥の院のようだ。
9:30、赤沼を後にして、来た林道を戻り、分岐から庄司山の南麓を通るタタラ沢林道を下る。
伐採地から庄司山を見上げる
採石場を左に見て、下って行く。
11:05、舗装道路に出ると、医療法人聖仁会の老人健康施設、森病院、グループホームなどの施設。
11:30、函館高等技術専門学院の前を通り、函館新道の桔梗の側道へ出る。あとは、函館新道の側道から、国道5号を歩き、12:45、徘徊もどきのロングウォークは保護されることなく、無事帰宅。
わたしも、先日赤川林道に蝶を撮りに行きましたが橋工事のため上へは行けず戻りました。
18日に戸井の山にゴマシジミを撮りに行ったとき、森の方でsakagさんのブログを通じて私の名前を知っている男性に会いました。植物を撮っていると話していたので、ママコナの場所を教えました。今日の、わたしのブログにコメントがありました。
妙要寺のうしみつ参りがなくなってなってから荒れ放題になっているようです。
森のwajiさんですね。一緒に登ったり、白水岳の開削作業の仕掛人です。