つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

お知らせ

2024年07月28日 | 佐橋美術店よりのお知らせ

こちらは佐橋美術店(HPへ)のブログでございます。
営業日時やご来店のご予約状況などはこちらでご確認くださいますようお願い致します。
通常営業は火曜日~土曜日 11:30~17:30とさせていただいております。
勝手ながら急用などで外出をさせていただくこともございますので
できましたらご来店にはご予約を賜りたく、ご協力のほどお願い申し上げます。
ご予約は、ご来店の日時に限りを設けず(休廊日も可)承ります。
どうぞご都合の良い日時をお知らせくださいませ。

佐橋美術店 連絡先 

電話 052 938 4567
不在のおりには、 留守番電話にお名前をお残しいただけますと大変助かります

メール sahasi2009@castle.ocn.ne.jp

携帯 09056010068
   09076927861
   共にショートメール可
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働く人

2024年07月24日 | 森芳雄展
いよいよ森芳雄作品のそれぞれのご紹介も最終回に近づきました。

「働く人」は今回の展示作品の中で、おそらく一番古い作品になるかと思います。






森芳雄の名が一躍全国レベルになったのは、「二人」という作品を1950年
第14回自由美術展に出品、そしてこの作品を売却してからです。

この頃のことを森自身は以下のように書いています。

「この絵を描いたときは、経済的にも精神的にもとにかく戦後のどん底だった。紀伊国屋書店の社長に頼んだら気持ちよく買ってくれて、その年が越せた。長いこと店の正面に掛けてあった。この絵が僕の代表作の一点としてこれほど評価されるとは思わなかった。わからないもんだね。この頃も今も変わらないことは僕は『人間』を描きたいっていうことだ。」 日経ポケットギャラリー森芳雄より









確かにこの頃の作品には時代性も感じられ、1960年以降の森作品とは別の表情、思索を感じることができます。





おそらく額も当時のまま。キャンバス裏には何も書いてありませんが、裏板には大阪フォルム画廊さんのシールが貼ってあります。1956年昭和31年に個展を大阪フォルム画廊で開催と年譜にもありますので、この時の出品作かもしれません。




「働く人」は、果たして農夫なのか?何かを作っている人なのか?わかりませんが、よく見ていると画面の上部にも同じようなボーズをしている人が描かれ、水色に描かれているのは水面のようにも感じられます。また左最上部、奥には山などの遠い風景が広がっているようにさえ見えてきます。

6Fのキャンバスを横に使い、色彩も乾いた画面も全てに気が行き届いた素晴らしい作品だと私自身もこの頃になってやっと見えて参りました。私の森芳雄観は、どんどん変化しています。どちらかというと、油彩画を見るというより日本画を見て感じる感覚に近くなってきているように思います。

明日あたりからこの作品をショーウィンドウに飾らせていただこうと思っています。店の前をお通りの皆さんの反応が楽しみです。



「働く人」6F ☆


◇   ~30万円
☆  ~50万円
☆彡 ~100万円



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2024/07/23

2024年07月23日 | 森芳雄展
孫が昨日手作りのケーキを持って自宅に遊びに来てくれました。

4歳のサイチと1歳半のキイノはそれぞれアレルギーなどありますが、普段はとても元気で活発な子供たちです。

私は孫と遊ぶ時は、「命がけ」と思えるほど一生懸命遊びます。

体も使い、知恵も絞り、色々な遊びを一緒にします。戦ったり、踊ったり、兎に角必死に遊びます。

公園に行くときは、一緒にお滑り台を滑ったするので洋服は汚れるし、なんと言っても筋力が足りないのですぐ転んだり、頭を打ちそうにもなります。自分でもどうかな?と思いますが、子供というのは大人の真剣さを瞬時に判断するので、努力は必ず通じ、とても仲良くしてくれるのですね。

孫だからということもあるのでしょうけれど、やはり子供というのはとっても美しいと思えます。
よく笑うし、泣いたり、怒ったり、怖がったり、寂しがったり、兎に角生きるということに真っ直ぐなのです。




先日、私の誕生日の当日に、2人の孫がビデオ通話をしてくれました。

絵本を一緒に読んだり、ぬいぐるみを使ってごっこ遊びをしたり、歌を歌ったり、私も孫たちも携帯やパソコンの前で大忙しですが、楽しい時間はすぐに過ぎてしまうもので、お別れの時間が近づくと「もっとなばーばと(私は孫たちにこう呼ばれています)お話ししたい、切りたくない!」と真剣に怒ってくれたり、泣いてくれたりする姿を見ると、何だかとても嬉しくて、「明日もがんばって生きよう!」と思えてきます。

それでもサイチは4歳になって会話がスムーズになってきたので「それじゃ、明日もまたビデオ通話をしようよ。お約束しようね」と言うと「わかった」と納得してくれるようになりました。

キイノはまだお話しできないし、きっと意味もわからないのでただ「キイノさん、バイバーイ」と手を振って通話を切ることにすると、

翌日、義娘のマホから、「キイノは昨日お義母さんと通話を切った後、「なばーば、なばーばと言って家中を探して歩いていました」と教えてもらうと、何だかとても胸が熱くなりました。





孫たちと遊んだ翌日は、いつも見ている絵が、とても強く、深く感じられて不思議です。

ストレスを発散できたからと言えるのかも知れませんが、私の邪な計算や欲が洗い流されたからではないかと思っています。

キイノが、画面から消えてしまったナバーバを歩き回りながら探してくれたと知った時、私は森芳雄の描く人物像というのはそういう存在ではないか?とふと考えました。


いつかは目の前から居なくなってしまう形としての「存在」と、心象風景のように心に淡く、けれど決して消えてなくなったりしない感覚としての「存在」

その間を行ったり来たりしながら森芳雄の作品上の人物は寡黙に、羞じらいながらいつもそこに立っています。

終戦後も寡作であり、生活も貧しかった森に、あの山口薫が「もっと絵を描け、ここで描かないと腕がなまる」と忠告したというお話は有名ですが、いま私の目の前にあり、2ヶ月近くをともに過ごすことになった森の作品は、なんとも言えない温かさと「絵」としての品を保ち、佐橋の形や姿を探すことを諦めはじめた私に一筋の光と安心を与えてくれています。森芳雄という人はやはり一本気で嘘のない、美という信頼に値する画家であったと思えます。



孫たちに学ぶことは、まだまだ沢山ありそうです。これからも美術品を観るときと同じように、真剣に子供達と向き合っていきたいと思っています。












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向日葵

2024年07月20日 | 森芳雄展
近くの公園にひまわりらしい向日葵を見つけました。子供のころは向日葵はいつもこんな感じで背がとても高かったなぁと思いつつ、あれは私の身長が低かったせいかしら?と考え始めました。







小窓の上にはこの頃絵を飾らないようになっていました。どうしてもハシゴを使わなくてはいけなくなりますし、余り沢山絵を飾ると暑苦しくなるかな?と思っていたからです。

今回は小品なので、森芳雄の果物の絵を飾りました。これなら軽いので飾りやすくて安心です。

リンゴも桃もとてもよく描けているのに、少し古く感じるのはなぜだろう?と思いましたが、森の果物の方が実に果物らしいのだと気づきました。ひまわりと同じように、今の果物は全てお菓子っぽくて、全て同じような形、リンゴの実はどんどん柔らかくなっています。

森芳雄の果物は、それぞれの実の噛みごたえさえ伝わります。



昨日ご来店のお客様は大変絵を見るお力のある方で、ご在店の短い時間に、森のいくつかの良いと思える絵をお選びになられました。「桃」は構図も形もとっても面白いのに、もしかしたら額を違うものに変えたらいいのかな?と優しくおっしゃってくださいました。なるほど!と妙に納得。私も色々考えていましたが、額のことも確かにあるかもしれないと思えました。

また弥栄さんがいらしてくだったときに教えていただこうと思います。




そして、結局、森らしい作品はどれか?というお話になり









これらの作品を候補にあげてくださり







こちらの作品にお約束をいただきました。


今展示の代表的な作品をお納め出来るのは私にとっても大変光栄な事です。








花屋さんに火曜日に運んでいただいた生花がこの暑さでダメになってしまったので、仕方なくお床にブロンズを飾らせていただきました。


裸婦の絵に裸婦像はどうかな?と思いましたが、佐藤忠良もやはり職人的作家です。






森芳雄の絵画と戦う事なく、忠良らしさを静かに美しく見せてくれています。


大人の作家たち、居心地の良い空間になりました。

今日もお暑い中をご来店くださったお客様がいらっしゃいました。

みなさまに深く感謝申し上げます。

いよいよ来週からが展覧会の本番です。
が、ほとんどのお客様がもう既にお立ち寄りくださっているような〜💦

まぁ、のんびりやらせていただきますね。



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母子像

2024年07月18日 | 森芳雄展
森芳雄といえば、「母子像」と思われる方も多くいらっしゃると思います。

今回は3点の母子像をご紹介しています。






森は若い頃から母子像を描き、その画業の一つのテーマとしてきました。



西洋の宗教画などに確かに母子像は多く見受けられますが、日本の近代油彩画には母子を描いた作品は少なく、まして森芳雄のようにポーズも構図もそれぞれ変化をつけて描くことは大変難しい作業であるということに今回ふと気づきました。











1950年代から60年代制作の作品は一見、抽象的で都会的、おしゃれであると思えることも確かにあるのだと思いますが、


















1970年以降1990年位までに描かれた3点の母子の表情を良くご覧いただければ、そのときどきの親子の置かれた状況、視線、気持ちの違いをお感じいただけるかと思います。

ラッパをもつ赤ちゃんである我が子を見つめるお若いでしょうお母さんの視線は子供の体全体を見つめ、まずその子の安全を見守るのに必死のようです。

夏の親子は野外なのでしょう、陽を浴びながら確かに視線を合わせ何かをお話をしているようです。

椅子に腰かけた母親はお嬢さんの両手を離さず、何かを話しかけているようです。少し内またに立つ可愛らしいお嬢さんの緊張感も少し伝わってくるように感じます。



「母と子がその場で何を話しているかが想像できる母子像を」と森自身が語っていますが、こうした作品を見るとき、絵画に情緒を持ち込むのではなく、絵画に描かれた存在自体が自ずから発する「情緒」というものを森は求め、探求し続けたということがわかるように思います。


絵画に言い訳やお世辞はいらない。





森という画家はいつもそう言っているように思います。

描いた絵がもたらす情緒。

沈黙も言葉。

やはり森作品にはそんな印象がつきまといます。
そして、偏見と捉えられてしまうかもしれませんが、森作品を深くご理解いただけるのはやはり「男性」ではないかと思っています。

例えばメイクをされたり、アクセサリーを身に着けられる現代の青年のみなさんにもきっと何かお伝えできるものがあるような気がするのです。男性にとって女性は、まして家族は永遠に「守り、愛し続ける者たち」であると思えるからです。

本日この地方も梅雨があけました。
また再びお暑くなって参りました。
みなさまどうぞお気をつけてお過ごしください。






母子像(ラッパをもつ) 4F 1970年~75年制作  ☆

母子像(夏) 6F 1985年頃  自筆証明書  ☆

母子像 6F 1990年代 共シール 東美鑑  ☆彡



◇   ~30万円
☆  ~50万円
☆彡 ~100万円
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