つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

働く人

2024年07月24日 | 森芳雄展
いよいよ森芳雄作品のそれぞれのご紹介も最終回に近づきました。

「働く人」は今回の展示作品の中で、おそらく一番古い作品になるかと思います。






森芳雄の名が一躍全国レベルになったのは、「二人」という作品を1950年
第14回自由美術展に出品、そしてこの作品を売却してからです。

この頃のことを森自身は以下のように書いています。

「この絵を描いたときは、経済的にも精神的にもとにかく戦後のどん底だった。紀伊国屋書店の社長に頼んだら気持ちよく買ってくれて、その年が越せた。長いこと店の正面に掛けてあった。この絵が僕の代表作の一点としてこれほど評価されるとは思わなかった。わからないもんだね。この頃も今も変わらないことは僕は『人間』を描きたいっていうことだ。」 日経ポケットギャラリー森芳雄より









確かにこの頃の作品には時代性も感じられ、1960年以降の森作品とは別の表情、思索を感じることができます。





おそらく額も当時のまま。キャンバス裏には何も書いてありませんが、裏板には大阪フォルム画廊さんのシールが貼ってあります。1956年昭和31年に個展を大阪フォルム画廊で開催と年譜にもありますので、この時の出品作かもしれません。




「働く人」は、果たして農夫なのか?何かを作っている人なのか?わかりませんが、よく見ていると画面の上部にも同じようなボーズをしている人が描かれ、水色に描かれているのは水面のようにも感じられます。また左最上部、奥には山などの遠い風景が広がっているようにさえ見えてきます。

6Fのキャンバスを横に使い、色彩も乾いた画面も全てに気が行き届いた素晴らしい作品だと私自身もこの頃になってやっと見えて参りました。私の森芳雄観は、どんどん変化しています。どちらかというと、油彩画を見るというより日本画を見て感じる感覚に近くなってきているように思います。

明日あたりからこの作品をショーウィンドウに飾らせていただこうと思っています。店の前をお通りの皆さんの反応が楽しみです。



「働く人」6F ☆


◇   ~30万円
☆  ~50万円
☆彡 ~100万円



コメント
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