つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

青木繁 「海の幸」に思うこと

2018年09月14日 | お客様よりのお便り

「パソコン等の画面からも出来る限り遠ざかって居りましたが、佐橋様の貴ブログは
愉しく拝見させて戴いて居りました。随分と勉強もさせて戴いて居ります。
特に、先日の長谷川利行の画に関する一見識、心を突かれた気が致しました。」



先回ご紹介させて頂いたお客様から頂いたメールです。


人間というのはとても勝手です。
頂いたメールの中に、自分にとって都合の良いこと、はっとさせて頂いたことをだけを見つけ、それをすぐに記憶に留めます。

当店のブログの長谷川利行の記事について触れてくださったことがとても嬉しくて、私は自分の書いたblogを早速読み直そうとしました。

けれど「あれ?ない。。」


「あぁ、そういえば」と思い出しました。


「利行、再び」というタイトルで記事を書かせて頂いたのはつい最近のことです。

一生懸命に、感じ、考え、夜もほとんど寝ずに、勢い混んで書いた文だったのですが、
そして冷静さが失われていないか?佐橋にも予め読んでもらい、アップさせていただいたのですが。。

数日後、自分の中に 混乱が起きました。

利行作品を店で売りながら、利行作品を気安く買うな!と偉そうに、、あなたは何さま?

自分の記事を読んでとても恥ずかしくなってしまったのです。

そうなると、私はもう止まりません。

さっさと記事を削除してしまいました。



そして、お恥ずかしいことに今度は、削除したことも忘れ、また自分の記事を読み直そうとしていたのです。




先日立ち寄ってくださった後輩のKさんもあの記事を「とても良かった」と言ってくださいました。
私が削除してしまったことをお伝えすると笑って、「勿体無い」とおっしゃてくださいました。


「佐橋さんのブログは美術品を売るとか買うとかを超えているところが良い」と皆様に言っていただくことがあります。とてもとても嬉しく思いますが、


でも、やっぱり売りたいし、買いたいし、、、
それはもうずっと変わりません。



時々その葛藤が文章に表れてしまうことがあり、
そしてその私の葛藤はお客様にはお分かりいただけないことだと思ってしまっていました。

記事を削除したのは、わかっていただけないだろう。。そんな虚しさからのことです。



萬人にわかるはずのない、私だけの尊い美意識 ⇄ 誰かに認めて貰いたい、私だけの孤独な美意識

人間はいつも、この狭間に生きているように思います。

その自分の悲しさと業の強さのようなものを十分わかっていないと、美術品に触れて磨かれてゆくべき魂は思わぬ方向に傾き、自分や大切な人達をも傷つける ようになってしまう

そのような事を削除した記事に書かせていただいたのだろうと思い出しています。






上にご紹介したお客様からのメール、またご披露頂いた御舟の書簡に溢れる画家としての芸術観、後輩の来店、その後のメールの交換を通して気づかさせて頂いたことが有りました。

「もしかしたら、私のそうした生活、葛藤のようなものもお感じくださった上で、皆さまはこのブログをお読みくださっているのかもしれない」そう思えました。






青木繁 「海の幸」

この頃佐橋は「僕たちは家族やお客様方とこうして生きて行くのだね」と言います。




この道を生きてゆくしかないのなら、それぞれの荷物や獲物を引きづりながら、
私達は、同じ方向を向いてとぼとぼと一緒に歩いて参りましょう。

引きづる荷物と獲物は、魚でなくて、お金でしょうか?絵画でしょうか?はたまた美しい女性でしょうか?利行のようにノミ、シラミばかりでしょうか??

一人よそ見をしてこちらを見ているのが、ブログを書く私?良い絵はないかと探す佐橋?

とにかく、これからも皆さまと、前へ進んで参りたいと存じます。




今日もブログをお読みくださりありがとうございます。心より感謝申し上げます。





















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