写真:櫻川七好師匠の芸(左が「太鼓腹」)
いやあ昨夜は感動させられました。幇間(ほうかん)の芸。場所は吉原の料亭「中江別館金村」の2階の座敷。芸者さんの三味線を楽しもうとでかけたのですが、何よりも感動させられたのです、櫻川七好師匠の芸に。
声色・声帯模写、屏風を使って身体を出し入れしながら旦那と幇間の一人二役を演ずる「太鼓腹」、うら若き娘と老婆を演じ分ける「どうぞ叶えて」などなど。いずれも芸は細かく、そのエンターテイナーぶりは圧倒的でした。
幇間は「太鼓持ち」、「男芸者」ともいわれます。「幇」は助ける、「間」は人と人との間。接待する側とされる側、客同士や客と芸者の間、雰囲気が途切れた「間」を愉しく盛り上げるのが、その役割です。
その言葉のとおり櫻川七好師匠の芸は、6時間を超える長いわれわれの座敷を、少しも飽きさせることなく場を盛り上げ続けたのです。
その師匠もいま齢60歳。現在では我が国で5人だけになってしまったという幇間です。粋で洒脱で艶っぽい、こうした芸をどう残していったものか・・・。そう思い付くと、せっかくのエンターテイメントを堪能しつつも、胸を騒がせて吉原の街を後にしたというものです。