写真:「田原市教育委員会編」
渥美半島は縄文文化の宝庫です。吉胡(よしご)、伊川津、保美(ほび)の3つの貝塚があり、渥美の3大貝塚として全国に知られています。縄文晩期(約3200~2500年前)を中心としており、100年前から発掘が行われてきています。特に人骨は豊富で、今日の縄文人イメージの基礎となっていることは知っておいてよいでしょう。
その貝塚の1つである保美貝塚で一昨日、発掘調査説明会が持たれました。今年から市の教育委員会では、国立歴史民俗博物館とともに文科省の補助を受けて本格的な調査をスタートさせる予定だからです。
福江地域での説明会には100人程の地域の人や考古学ファンらが集まりました。学芸員の解説を熱心に聞くとともに、往時のペンダントやイヤリングの意匠の大胆さなどに大いに魅入っていたものでした。
縄文文化は日本文化のルーツとさえいわれます。それだけに実はここ渥美半島で発掘される遺物とロマンを組み合わせ、全国に発信する「渥美半島縄文ものがたり」を構想したいと前々から思っていました。
しかし私のそうした勝手な思い込みに対し、学芸員たちは冷静です。「えっ『縄文ものがたり』ですか? うーん、何を発信するのでしょう。何にしてもやはり正確な裏付けや根拠がないとならないのですが…」と。学術と観光とは別物と割り切るのは、どうやら門外漢の人間だけのようですね。