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今日はなにいろ?

2006年映画の総決算 ~その5~

2006-12-22 13:01:33 | 映画
今年、映画館で映画を観た本数が今日現在で119本になりました。
あと4本くらい観たいので、毎月10本ずつ映画を映画館で観ると言う公約は果たせそうです

さてそれらの中から今年、もっとも印象に残った作品を挙げて、今年の総決算にしようと思います。

その作品とは

「ホテル・ルワンダ」
「太陽」
「硫黄島からの手紙」

です。

「ホテル・ルワンダ」と「太陽」は似たような背景があります。
どちらの作品もなかなか上映されず、映画愛好家達が立ち上がって、上映にこぎつけた、と言ういきさつがあります。

「ホテル・ルワンダ」

この映画はルワンダで起きた大量虐殺事件を扱った映画です。
なぜ、日本での公開が遅れたのでしょうか。

この映画を日本の配給会社は、アフリカが舞台だし、虐殺がテーマで客が望めない、さらには出演している俳優さんがそれほど有名じゃない(最初、デンゼル・ワシントンやウィル・スミスを主役にする働きかけがあったとか)などから、この映画を買わなかったらしい。
ところがこの映画、アカデミーなどで脚光を浴び、今度はフィルムの値段が高騰したため、手が出なくなった。
しかし、この映画を観たいという映画愛好家達が立ち上がり、全国各地で、上映されることになった。
そんないきさつがあるのです。

ドン・チールドさん演じるホテルの支配人は物凄いヒーローだった訳ではありません。
彼は自分の家族だけを助けたかった。
それが結果として1200人の命を救うことになるのです。
その方法はホテルマンとして養ってきた人扱いの上手さ、でした。
融通のきかない男には賄賂で言い含め、人々には「外国の要人に電話して、この電話が命綱で、これが切れたら自分たちの命は途切れてしまう」と言いなさい、とみんなに訴える。
生きるため、家族を守るため、必死に動き回る、ドン・チールド演じるホテルの支配人の姿に涙が止まりませんでした。
この映画で、もう一つ印象に残るセリフがあります。
ホアキン・フェニックス演じるジャーナリストが(虐殺シーンが報道されて外国から支援に駆けつけてくれるだろうと喜ぶ支配人の言葉に返して)「テレビでこれを見て手を止めて『ひどいことだ』と言っても、すぐにディナーに戻るだろう」と言うセリフです。
事実、私はこのルワンダで起きた虐殺事件についてすっかり忘れてました。
たぶん、この事件が起きた時には、テレビや新聞を見て、ひどいことだと呟いていただろと思います。
映画と言うのはこうやって人々の脳裏に焼き付けることが出来る大きな手段でもあるわけですね。
ルワンダで起きた大量殺人事件のことを、今後は忘れることがないだろうと、映画館を後にしながら、そう思いました。

「太陽」

これが日本では上映が無理だろうと言われた訳。
何となく分かる気がします。
日本ではタブーと言われている天皇を描いた作品だから。
しかもロシアの監督が描いている、それだけで毛嫌いする日本人もきっといるだろうと思います。
事実、ハリウッドなどが日本を描くと、絶対と言っていいほど、「これはどこの国?」と言いたくなるような描き方をします。
「パールハーバー」の御前会議など、ひどいものでした。
(ちなみに「太陽」にも御前会議のシーンが出てきます)
この映画の中で非常に印象に残ったシーンがいくつかありますが、その中の一つに皇居内の庭に放たれた鶴、それを米兵が追い掛け回すシーンがあります。
天皇の住む皇居、そこで羽を休めている鶴、それを追い掛け回す米兵(米兵はアインシュタインと、鶴を呼んでました)
私は鶴=天皇、という図が浮かびました。
戦争に負けると言うのはこう言うことなんでしょうね。
それと、マッカーサとの会見で、マッカーサーがなぜ着物を着てこなかったか、聞いてみろ、と通訳に指示するシーン。
天皇は英語で「着物は儀式に着るもので、この場にはふさわしくない」と毅然と言い放ちます。
神と昨日まで言われていたが、今日からは人として受け入れる、戦争責任を背負うと言う、謙虚なふるまいの一方で、毅然とした姿には、震えるほどの感動を覚えました。
もちろんドキュメンタリーではないので、全てが本当だとはいえません。
が、天皇の映画(ドキュメンタリーではない)を観ることが出来た喜びと、多くの感動や悲しさをこの映画から得ることが出来ました。
忘れられない一本になりました。

「硫黄島からの手紙」

この映画、二宮和也が渡辺謙とともに主演を演じると耳にしたときは
「ええー?」と言う驚きと、正直言って、落胆がありました。
アイドルを主演にした映画で、良かった試しが一度もない。
イーストウッド監督は何を考えているんだろう、というのが本音でした。

ところがこの二宮和也が物凄く良かったのです。
彼が最後にタンカで運ばれて、米兵の隣りに横たわった時。
その時の表情が何とも言えないんです。
笑っているわけではないんですが、生きている喜びみたいなものがその横顔にさーっと広がるんですよね。
この表情が最高なんです。
この表情だけでも二宮和也を抜擢したかいがあったのでは、と思えたくらい。

それまでの戦争映画(特に日本の戦争映画は)いかにお国のために潔く死んでいったかを描くことで涙を誘っていた。
が、この映画は二宮和也演じる青年が生きるために必死にもがく姿を描いている。
命の大切さを強く感じさせました。
それ以外にも犬を殺せなかった憲兵や、愚かな上官、そして渡辺謙演じる将校など、心に残ることがたくさんあった映画でした。

来年もたくさんの映画と出会いたいと思います。
それが映画館を出た途端に忘れてしまうようなつまらない作品であったとしても、生涯忘れられない作品であったとしても…。



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5 コメント

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Unknown (オリコチャン)
2006-12-22 19:19:08
「硫黄島からの手紙」
うちも見たいです...
戦争ものって結構感動するヵラすきbb
もうそんな季節なのね。 (ガオ)
2006-12-22 22:54:57
わぁ~♪
総決算がたくさんアップされているね!
その1から楽しく読ませてもらったよ。
それでもって、その5のこの栄えある3本は
アタシもすんごく同感です!!
『ホテルルワンダ』はヨッシーさんのおかげで
出会えることが出来た映画だから
思いれもひとしおだし、『太陽』も
同じく忘れられない一本です。
それでもって、先日『硫黄島からの手紙』を観てきたんだけれど
もう、ヨッシーさんに同感です。
うんうん、同じく、えぇ・・二宮さんって?
って感じで観たのだけれど、それが
思いのほかとっても自然でよかったし
彼と一緒につるんでいた名もなき俳優さんも
気になっているし(誰?・笑)他の人たちも
すごくよかった。あと、戦争映画を
ものすごく冷静に扱っているところが感動しちゃったのよ。
久しぶりにキチンとした反戦映画を観た気分。
あとで、本館にも感想食べに行くね♪
楽しみーーー!

そうそう、話全然違うけれども
あのハートマーク、ヨッシーさん作?
相変わらず上手いなぁ!!
コメントありがとうございます (ヨッシー)
2006-12-23 08:29:26
☆オリコチャンさん
戦争モノは感動すると言うか、胸に残る作品が多いですよね。
でも悲惨なシーンが辛くて、なかなか観る気分になれないんだけど…。
この映画はとってもよかったです。
観られるといいね。

☆ガオさん
総決算見てくれたんですね。
ありがとう!
そうそう、栄えある3本(笑)
ガオさんもこの3本、全部観ているんですね。
わー、それって結構珍しいよね。
お互いいろんな映画を観るけど、けっこうすれ違いがおおくて(笑)
しかも3本がすべて同じく、印象に残った映画だって言うのもすんごく珍しいことかも。
私も最近ガオさんの嗜好に似てきたのかも(笑)
「ホテル・ルワンダ」も「太陽」も良かったよねえ。
そしてガオさんも「硫黄島からの手紙」ご覧になったのですね。
そうなのよね、二宮君ってどうなのよーって思っていたんだけど、彼がとっても良かった。
そうそう、彼をとりまく名もなき俳優さんたち、彼らがとっても良かったね。
後でガオさんの感想を読むのを楽しみにしてます。
あ、ハートマークはこの絵文字に入っていたものを使っただけなの(汗)
最近イラスト全然描いてないのよ。
飽きっぽい私を許して~♪
3本 (なっつん)
2006-12-27 09:56:27
う~ん、「太陽」こちらでは上映されなかったから残念です。
重厚な作品の三つ巴ですねー。
総決算その5まで楽しませて貰いました。
未だ観ていない作品もいっぱいあって、レンタルするのが楽しみです。
年間の映画代を計算してみたら、意外と安いのね/face_sup/}
(そういえば、去年ヨッシーさんがやってました)
来年は、もっと映画館へ行って、レンタルもしまくろうと思ってま~す
コメントありがとうございます (ヨッシー)
2006-12-28 18:01:32
☆なっつんさん
総決算、見てくれてありがとうございました。
そうですね、重厚な3点セット(笑)
映画代、そんなにびっくりするほどじゃないんですよね。
割引チケットがあるし。
タダ券ももらえるし。
ただ、レンタルは今のところちょっと無理かも。
セールの時を活用すれば何とかなるかもしれないけど、そうなると、映画漬けの毎日になっちゃうしね。
それはそれで嬉しいんだけど(笑)
来年もまたいろんな映画のこと、語り合いましょう!