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今日はなにいろ?

「クローズド・ノート」 雫井脩介

2008-12-19 12:00:00 | 読書感想文
「クローズド・ノート」と聞くと”エリカ様”を思い出してしまう…。

この小説の主人公は女子大生。ちょっと天然で、そこが魅力。
失敗してもめげない。明るく元気で素直(これをあの”エリカ様”が演じたのか?!)

雫井脩介の小説には女性が主人公と言うのが何冊かある。
それらの全てに言えること。
本当に女性の心理を良く知っているということ。

「クローズド・ノート」に登場する女性。彼女が恋心に揺れる描写、よく書かれているなあと感心。
そのほか料理のこととか、収納のこととか、細々したところが普通に女性なのだ(当たり前だけど、男の人が書いたと思うと凄い)

内容はそんなにびっくりするものじゃない。
なんとなく途中から分かっちゃうし。

「隆」は確かに素敵な男性なのだろうけど、でも人間的にどうなんだろう。
何だかちゃんとしてないと言うか、流されていると言うか。
伊吹さんの時にも、堀井さんの時も女性から積極的にされて「それじゃ~」って感じになっている。
私は嫌いだな、この手の男は(でも伊勢谷さんみたいな人だったら考える)

万年筆のことが詳しく書かれていて、私も万年筆が欲しくなった。
でも、一本10万もする万年筆って…。

あとがきの著書の言葉に感銘。
著書のお姉さん、教師をしていたらしい。
数年前に事故で亡くなっているそうで、一部彼女が書いた文章を使用しているところがあるとか(太陽の子通信とか、不登校に悩む母親との手紙とか)
このお姉さんをモチーフにこの小説を書いたそう。

さよなら薫ちゃん

2008-12-18 11:09:25 | 相棒
「相棒」season7で亀山薫は卒業とは知っていたけど、まさかシーズン途中でいなくなるとは思わなかった。
さて、どういう去り方をするか。
昨日放送の中盤でこれは殉職はないぞ、転勤だな。とほっと一息していたけど。
なーんと、急展開。まさか退職なんて、それはないよ。
これじゃ、今後亀山薫が番組に戻ってくることもないだろうし、たまに顔見せすることもない。

しかも終了間際「実は~」と言う話になって、送別会をすることもなく、花束一つも貰うわけでなく右京さんに「お疲れ様でした」と深々とお辞儀をして、去って行く。
まあ、それらしいと言えばそれらしいけど、いかにも番組の都合上いなくなったって感じ。

さっき、ネットを見ていて知ったのだけど、長い間同じ番組を続けていくと行くことの弊害のようなことを右京さんこと、水谷豊さんから告げられていたとか。
他の役に切り替えられる、ぎりぎりの年齢だってことらしい。
確かに、いつまでも寺脇さんが登場したら「あ、亀ちゃんだ」って言われるのもどうなんだろうねー。

でも、水谷豊だって長い間同じシリーズを演じていたんじゃないかって思うんだけど。で、なんとなくワンパターンな演技で、でもそれが彼らしいと言えば彼らしかったし。
もしかしたら、自分のことを省みて、寺脇康文には同じ道を歩ませたくないと言う思いがあったのか、というのは深読みか?

いろいろ思いを馳せて、やっぱりそうなんじゃないかって思ったことは…。製作側がマンネリを嫌って彼を切った可能性大。しかも、絶頂期に切ると言うやり方はかなり効果的だ。物凄く話題になったし。

「相棒」はドラマにはまれない私がはまった唯一(あ、そういえば「古畑任三郎」にもはまったが)ドラマ。
話題性を重視して、内容がないがしろになってしまうようなドラマにはなって欲しくないものだ。

「レベル4」のミソ(12月17日放送)
「杉下右京は人材の墓場」というのは彼の元では部下が育たないと言う過去から。
亀山薫も配属されてすぐに「辞表」を書いている(ちゃっかり右京さんが始末していたが。しかも「上に出しておきました」と嘘を付き、純な薫ちゃんは大慌てする、と言うオマケつき)
その話に触れるシーンが登場。
「花の里」の女将宮部たまき(この役を演じる女優さん、今年から芸名を変えたんですね。出演者の名前が変わっていたのでびっくりした)に
「今まで6人の部下が最短で1日、最長でも7日で辞めている」と告げている。
これは凄い!
ギネスものだ。
確かにあの変人警部殿では、部下も嫌になるだろうなあ。

「陽気なギャングの日常と襲撃」 「魔王」 伊坂幸太郎

2008-12-17 13:42:18 | 読書感想文
「陽気なギャングの日常と襲撃」
「陽気なギャングが地球を回す」の続編。
4人のギャング仲間、彼らがとっても好き。
冷静沈着、人の嘘を見抜ける市役所職員の成瀬。
口から生まれてきたとみんなから言われるおしゃべりで軽率だけど憎めない喫茶店主、響野。
動物大好きで、天才的スリ師の若者、久遠。
絶対音感ならぬ、絶対時間を持っていて、車の運転抜群の女性、雪子。
彼ら四人がそれぞれ奇妙な出来事に出会い、その出来事はやがて一つの大きな出来事になっていく。
展開も面白いけど、それぞれのセリフが洒落ていて面白い。最後はちょっとやりすぎ感もあったけど、やっぱり伊坂さんは面白い。

「魔王」
この前、筒井康隆の「七瀬シリーズ」を読んだのだが、これも、超能力の話。
七瀬は生まれながらに超能力者だが、この主人公はいきなり超能力を授かる。
それも、人に自分の言いたいせりふを言わせると言う、役に立つのか立たないのかちょっと微妙な能力(うまく使えば、役に立ちそうな気もするが)
が、青年は違う方向に進んでしまったようで、最後はかなり可哀想。

「呼吸」
魔王の続編。
今回の主人公は青年の弟嫁。
弟は兄と同様、いきなり超能力を得る。
それは「ジャンケンに必ず勝つ」ということ。
えー、そんなこと。と思ったけど、これ、違うことに利用できるのでは、と二人は考える。
(兄も別な方法をとれば死なずにすんだかもしれないのに)
競馬で必ず勝つ方法を見出した弟は、嫁に内緒で億単位の金を稼ぐのだった…。

伊坂作品にはよく仲のいい兄弟が登場する。
これがほほえましくて、読んでいても気持ちがいい。
「考えろ、考えろ、マクガイバー」も面白かったし、
「ごきげんよう、おひさしぶり」も面白かった(これ、ゴキブリの別称)
弟が見た夢で、死に方が書かれた本があって、そこに、兄の死に方が出ていて、犬のそばで安らかに生き絶え「一番安らかな死に方です」と言う一文が添えてあったと言う話も素敵。
兄が死んでから、テレビも新聞も一切見ない、と言う弟夫婦の生活も新鮮(それでも世の中についていけるものなのだ)

伊坂作品に政治が登場するのは、私は初めて読んだ。
作者のあとがきによると
「今までに影響を受けてきた小説や音楽には、たいがい、社会や政治の事柄がよく含まれていて、そこから滲んでくる不穏さや、切迫感や青臭さがとても好きだったので~」とある。
なるほど。
本屋大賞を受賞した「ゴールデンスランバー」にも政治家が登場。
一極に集中する群集心理を描いているのはこの「魔王」と同じ雰囲気があるような。
早く文庫になってほしいものだ。