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今日はなにいろ?

ビッグボーナス ハセベバグシンオー

2009-04-15 11:32:32 | 読書感想文
第2回「このミステリーがすごい!」の大賞を争った作品とか(優秀賞)
この作家さん、「相棒」の脚本のところに時々お目にかかる。
「相棒シリーズ鑑識 米沢守の事件簿」はこの人が脚本をつとめ、お父さんの長谷部安春さんが監督をつとめたとか。

「ビッグボーナス」はその名の通り、パチスロの”ビッグボーナス”からきている。
パチスロの攻略本を売る男の話。

よく思うのだけど、「ロトくじ攻略法」とか、「競馬の攻略法」とか「パチンコの攻略法」とか、そういうものがあるんだったら、自分でやればいいんじゃないかと思う。

広告を出して、人を使って、いろんな手間と金を掛けて人様に売りつけるなら、自分でやったほうがお金になるだろうって。

この小説の中にも、それを突っ込む人が出てくる(当然だよな)
その言い訳。
「自分はホールに顔を知られているので、出入り禁止なんですよ」(プッ)

日本全国パチスロ屋、どんだけあるんだって。
お金になるんだったら(一日100万も儲かると、豪語している)日本全国行脚して歩いたって、諸経費を除いても大儲けだし、人を使って、代わりにやらせたっていいのに(打ち子とか言うらしい)

冷静に考えたら、いや、冷静に考えなくても、分かることだろうに、得体の知らないものに100万も払う人が、いっぱいいるらしい。
「おれおれ詐欺」にどうして引っかかるんだろうと思うけど、後から後から引っかかる人がいっぱいいる、あれに似ている。

ノーミソが溶けているんだろう(と、この小説にも書いてある)

ある程度、パチスロのことを知らないと訳分からないかも(私はパチスロやったことあるけど、この本の中で書いてある、オヤジ打ちしか出来ないし…順番に打つだけ)
最後がバタバタ過ぎる感あり。
あれだけ派手な銃撃戦で足がつかないわけないだろうと思うし。

ちょっとバイオレンス色が強くて、あまり好きな内容ではなかった。
文章は軽薄。文章を大事にするより、流れ中心って感じ。
相棒のストーリーは好きだけど、この作家さん。小説家としてはどうかな。

パズル・パレス ダン・ブラウン

2009-04-09 08:30:05 | 読書感想文
「ダ・ヴィンチ・コード」の著書、ダン・ブラウンの処女作。

ダン・ブラウンの作品はそのままそっくり映画になりそう。で、その通り、映画になっている(まもなく「天使と悪魔」も公開される)

この作品も映画になりそうな内容だ(ただ、コンピュータのことなので、時代の流れを感じさせてしまうのだが)
スペインでの「指輪」を巡る攻防はなかなか面白い(最後、殺人者が大学教授を追い詰めるシーンはちょっとくどいが)
同時に本部での攻防も、これもなかなかドキドキする展開(誰が本当のワルなのか、文章にだまされる)

面白いなとは思ったけど、突っ込みもある。

普通の大学教授が、電話一本でスペインに飛ぶだろうか。お金が目的ならともかく、お金に興味がない男だったし。

それと、日本人が登場するのだが、この人、原爆の時に生まれたと言う設定なのに、年齢が若すぎる。
一番いただけないのは名前。
エンセイ・タンカド(プッ)
厭世ってことか?
確かに世の中を斜に見ているような人物だが。
これ、ちょっとした暗号が関わっているから、仕方ないとは言え。
もう一人の日本人もトクゲン・ヌマタカ。
どちらも、僧侶みたいな名前だ。
訳者のあとがきによると、日本の習慣に及んだ事柄で、明らかにおかしいところは修正したと書かれている。

日本人の知人にでもちょっと目を通してもらえばよかったのに。
せめて、名前は、日本人らしい名前をつけて欲しかったものだ。重要な人物なのに。登場するたびに苦笑だった。


フロスト日和 R・D・ウィングフィールド

2009-04-01 13:24:08 | 読書感想文
前回の「クリスマスのフロスト」同様、フロストパワー全開。
と言うか、前回とほとんど同じじゃないの?と言えなくもない。
数日の間に事件が起きる「モジュラー型小説」で、フロスト警部の部下は訳ありで、フロストを決して尊敬してない、むしろ、軽蔑している男で、婦人警官に恋して、彼女とのベッドインを夢見て、早く帰宅したがっていて…。
が、シリーズモノの良さは「定番」だから。
水戸黄門は、越後屋が登場して、悪代官がいて、「この御紋が目に入らぬか~」があるから面白いのであって、それがなかったら別物になってしまう。
それはさておき。

今回はホームレスの死体で幕が切って落とされる(この男、解剖の結果、殺人だと分かる)
次に起きるのは女子高生の失踪。フロストは家出と睨むのだが(後に彼女を判別するのが、ベッドに置いてあったシェーバーだったとは…!)
それから怒涛のようにこの警察署に事件が押し寄せる。
連続婦女暴行事件。
高額の強盗事件。
ひき逃げ事件。
銃を使った強盗事件。
そして、警官殺し。
などなど。
これらが1週間弱の間に起きるのだから、凄い警察署だ。

残り数ページになっても、事件は山積み。どうなっちゃうんだろう、とハラハラやきもきさせられるのだが、なーんと、一挙に事件が解決。
帯に「終盤50ページはとにかく圧巻」と書いてあったけど、なるほど。
将棋倒しのように、事件が明らかになっていく様はほかの小説では味わったことがなかった。

すっかり、「フロスト」ファンになってしまった。