「痩せゆく男」 作 スティーヴン・キング
これって、羨ましい話じゃないですか。
たとえばハンバーグ3個(パンと添え物付き)トウモロコシ(バター付き)3本、フライド・ポテト半パイント、クリームソースを添えたモモのパイ二つを平らげても太ることはないどころか、翌日体重計に乗るとまたまた痩せているんだから。
主人公は1ヶ月半の間に120キロあった体重が半分に減ってしまう。
でもまだ60キロもあるじゃないかって思うけど、何しろ外人さんだから身長が180センチ以上あるんですよね。
きっと骸骨が皮をまとっている状態だったんだろうと思う。
そのうち内臓も縮んでしまう。カーペンターズの彼女の死因のように、心臓発作を起こす可能性もある(本の中にその記事も書いてある)
なぜ主人公はこうなってしまったのか。
主人公はジプシーの老婆をはねて殺してしまったのだ。
彼はまったくのお咎めなし。
それを恨んだジプシーの長老が彼に呪いをかけたのだ。
彼だけじゃなく、彼を無罪放免にした判事、ジプシーを追い払った警察署長もそれぞれむごい呪いをかけられて、無残な最期をとげる。
だけど痩せゆく男はあきらめず、ジプシーに呪いを解くように迫るのだ。
男は呪いを解くためにあの「パイ」を妻に食べさせようとしたが、その気持ち、私にはよく分かる。
当然だと思う。彼がそうなった原因は元はと言えば妻のせいだし、おまけに「ジプシーの呪いだ」と言い張る夫を精神病院に入れようとしたんだから。
だけど、待っていた結末とは…。かなり皮肉な終わり方で、後味は良くない。けど、スティーブン・キングの小説は時間が経つのも忘れて読んでしまうほど、魅力のある小説なのだ。
ところでこの小説、当初は「リチャード・バックマン」と言う名前で発表された。
多作の作家、スティーヴン・キング対して、作品は年に一度にするようにと言う出版社の要請を我慢できなかったと言うのが真相らしい。
面白いエピソードだなあ
ちなみにこれも映画化されているんですね。
主人公はどうやって「痩せゆく男」を演じたんだろう。
マシニストではクリスチャン・ベイルがやはり60キロ弱に体重を落として熱演していたんだけど、目をそらしたくなるような骸骨姿だった。
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誰か「これくらいまで痩せてあとは何を食べても太らない」と言うような呪いをかけてくれないだろうか