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今日はなにいろ?

死体を買う男 歌野晶午

2008-11-15 13:20:20 | 読書感想文
また、やってしまった。
何を?と言うと、同じ本をまた買ってしまう、と言うこと。
それを防ぐためにこのブログで読んだ本の感想を書いているのだが…。
今回は買っておいてまだ読んでいない本の塊に入れておいたままにしていたので。
「さあ、次にこれを読もう」と並べていたら、同じ本が2冊。
やれやれ。

現代は殺人を犯す道具やら死体を隠蔽する便利道具がいっぱいある(たぶん)
が、一方、警察の科学捜査も進んで、髪の毛一本落ちてさえいえれば、犯人を特定してしまう。
完全犯罪、難しそう。
と言うことで、本格的推理小説もなかなか大変そうだ。
シャーロック・ホームズや明智小五郎の時代は良かったなあ~と言うわけじゃないだろうが、この「死体を買う男」の時代設定は昭和初期。
江戸川乱歩の埋もれていた原稿か?と思わせる雰囲気。
あのパソコンやネットを駆使して、最近の残酷な殺人小説を書いていた歌野さんが、時代物とはびっくりなのだ。

この時代物と言うのはなかなか大変のようで、現代の言葉遣いとその頃の言葉遣い、全然違う。きっと、随分勉強したんだろう。
あの頃の小説を読んでいる雰囲気そのもの、なのだ。
これ、何かに似ている。
ひところ流行した「レトロブーム」
映画でも「ALWAYS 三丁目の夕日」で、昭和30年代の東京を緻密に再現して、話題になった。
が、古い時代を見たいならその頃の映画を観たらいいんじゃない?作り物じゃないホンモノがそこにはあるんだから、と言えなくもない。
この小説も、古い文体を読みたいなら、その頃の小説を読めば~ってことになるのかも。

双子を使ったトリックはいまさらって感じも。
なかなか古い文体に接する機会がなかったから、それはそれで斬新だったが。

ハリーポッターと死の秘宝

2008-11-11 11:02:32 | 読書感想文
やっとシリーズ完結。
長かったですね。最初読んだのが1999年。
あの時は一冊でしたが、それからは上下2巻。長い長いお話になって。
値段も倍に。お子様が読む本としてはずいぶん高価な本だなあと思いました。

それに次号が発売するまでの間隔が長い。7巻終了するまで9年。
小学校一年生だった子供が中学になっているんですから。
前回、あるいは、数回前に登場した人物の名前やら出来事、はっきり言って覚えてられません。

今回は特にいろんな人物が登場しました。
テレビドラマも最終回になると、かつて登場した人物が再び登場することがありますが、あんな感じで。
「これ誰だっけ?」としばし、読むのをとめること何度も。
そのまま読み続けましたが…。
時間がある時にでも、また最初から読み直したいと思ってます。

これ、文庫本サイズで(つまり低価格で)7巻一気に読めたら、それなりに面白かったと思います。
でも、私、この作者さんの文章、苦手。読み辛い。
読んでいると場面が頭の中に浮かんでくる。臨場感がある、というのでしょうか。
でも、映画やお芝居の脚本を読んでいるみたいで、文学的な面白さは、あまりなかった。文章を楽しむ、と言う本じゃないんですよね。

さて、最終巻の今回。お話はなかなか面白かったです。
途中、徹夜しかけるくらい、読む手を休むことが出来ないことがありました。
特に例の3人組で頑張っているところなどは(途中から一人脱落していったりしますが)ハラハラドキドキ。

ただ最後は肉弾戦って感じ。こんなふうなら、最初から全員で闘えば2巻くらいで終わったんじゃないかと(笑)
まあ、最後はやっぱり主人公ですが。

それにしても、今回もたくさん人が死にました。
子供が読むファンタジー、一緒に闘っていく仲間は死ぬわけはないと思っていたけど、前々回あたりからばたばた死んでいく。
それも流れとして当然、生きるものあれば死んでいく者もある、と言うことを著書は著しているのでしょうけど。

私の大好きな「ライラの冒険」シリーズも、随分人が死んでいきます。
でも、その死の重み、これが文章からにじみ出ているんですよね。
たとえば飛行船乗りが死んだ時、親友のよろいクマは彼の死体を食べるわけです。
これはなんというか、もってのほかですよ。死んだ人間を食べるなんて、冒涜です。しかも親友なのに。でも、それがなぜか、ということを著者は的確に述べているのです。だから(しぶしぶですが)納得できる。

この「ハリーポッター」は無意味な死が多すぎるような気がします。
1巻から共にしてきたヘドウィグの最後をほんの2、3行で終わらせてしまったことに納得がいきません(後に少々思い出すようですが)
ふくろうだけでなく、その他大勢の人々の死も納得いきません。
彼らはストーリーを面白くするためだけに死んでいったような気がします。

すべて終わった後、19年後と題して絵に描いたような「大団円」が描かれてます。
これ、映画になったらほんと、「絵になる」シーンでしょう。
めでたし、めでたし…ってところなんでしょうね。

それにしても、こんなに話題になる本はなかったですね。
原稿が盗まれたと言うニュース、耳にしましたし。
あと、次号では誰かが死ぬ、というのもけっこう話題になりましたね。
「ハグリッドが死ぬ?」なんてことが新聞の記事になったりして、「こんなことを記事にするなんて」とアンチハリーポッターだった人が苦々しげに言っているのを思い出しました。
そうそう、最終巻では何人か死ぬと著書が明言し、騒動になりました。なかなかうまい話題作りでした。

さて、映画のほうはどうなっているんでしょうか。
6作目「ハリーポッターと謎のプリンス」は来年7月公開。
さらに最終作は2010年と11年の2回に分けて上映されるようです。
映画のほうの終了はまだまだ先のようですね。