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今日はなにいろ?

「家族八景」「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」 筒井康隆

2008-10-28 09:11:04 | 読書感想文
昭和40年代に発表された作品が今また、脚光を浴びているのはNHKで「七瀬ふたたび」がドラマ化されたから。
40年も前の話が今の時代にも通じる、さすが筒井さんなのだ。

「家族八景」
火田七瀬は超能力者。人の心が読めるテレパス。
超能力者というとアメリカのコミックではスーパーヒーローとなって、世の中の悪に立ち向かっている。
が、この主人公七瀬は18歳の若さで家政婦。
なんと地味なこと。
彼女のテレパスが邪魔をして、長く勤まることが出来ない。
転々と各家庭を回る。
その家庭の様子を描いたのがこの小説。
「家政婦は見た」ってところか。
シリーズ一番地味だが、面白い。どんな人間でも心が綺麗な人、いないのかも。
(かく言う私もそうだけど)

「七瀬ふたたび」
七瀬は家政婦をやめてホステスをしている。
どうしてこうなるんだろう。もう少し、違う職業設定にすればいいのに、と思うのだが。
この小説には一挙にいろんなエスパーが登場する。
七瀬同様、人の心が読める少年。
未来が見える青年。
物を移動させることが出来る男(七瀬が頼まないと駄目、というのがミソ)
時間移動が出来る女性。
「X-MEN」状態。
いよいよ、超能力チームを組んで、世の中の悪と闘うのか、と思ったら最後は一挙に全滅している。
この呆気なさには呆然。
これだけの人物を揃えたらシリーズで何作も書けるのだろうに…。

「エディプスの恋人」
七瀬が生きている。年齢はほぼ同じ。今度は高校の事務職。
前回死んだはずなのに、そのことは一切触れてない。
なので、これは全然違う七瀬なのかと思ったら、最後の最後になって、実は続いていたのだということが分かる。
七瀬の超能力の遥か上を行くもの…意志、「神」の話となっては、これはなかなか理解難しい。

七瀬シリーズはこれで終わり。
これくらいの設定を作れば何作も作れるはずなのに、これは勿体無いような。
解説で平岡正明氏は「ここで七瀬シリーズをうちきったのは筒井康隆の作家的膂力(りょりょく)である」と述べている。
何だかよく分からないけど、そう言うものなのだろう。

ところでこのシリーズに登場した超能力。
一番人生で役立つ超能力は何だろう。
私は「未来が読める」超能力者じゃないかなと。

未来が読めたらどんな災難も避けられるし。
ロトくじが当てられて大金持ちになれるし。
が、人の心を読める七瀬はさらにそれを上回るのだ。
なぜなら未来を読める人の心を読んでしまうのだから。

が、超能力者の苦労というのも並大抵ではないようで。
やはり普通の人間が一番いいのかも。


検察捜査 中嶋博行

2008-10-10 09:35:05 | 読書感想文
第40回江戸川乱歩賞受賞
1994年週刊文春ミステリーベスト10 第1位

本を買うとき、何を基にするか。
まずは、好きな作家。伊坂幸太郎、歌野晶午、雫井脩介は迷わず買う(文庫になった彼らの本はほとんど読みつくしてしまった)
話題になった本。
そして、本にかかっている「帯」
これがけっこう決め手になる。
「このミス~」の文句には弱い。
「カラマーゾフ兄弟」の帯は最高だったな。あれであの厚い本の購入の決め手になったんだから、本の「帯」は侮れない。

「検察捜査」はその名の通り検察官が殺人事件の捜査に当たる。
殺人事件というと警察官のお話が普通なので、これは異色。
女性検察官と彼女を補佐する事務官の男性。このコンビがなかなか乙。

途中、検察の内部のことやら、弁護士の内情やら詳しく語られる部分がたくさんある。
さすが現役弁護士が書いた本だけある。

なのだが、その説明がちょっと重い。読んでいて飽きてくる。
それと、そのくらいのことで殺人を犯してしまうのか?と言う疑問が残る。
司法に関わる人にとっては大変なことなんだよ~、といろいろ説明してくれているんだろうけど、はっきり言ってチンプンカンプン。

犯人の魔の手が~と言うシーンで飛び出したあの「コード」は、これぞ「ミステリー」と思わせるキーポイントになって、面白かったが。
全体的にどよーんとしていて、読み終わってスッキリ、と言うわけにはならなかった。

この本で一番興味を持ったこと。
検事になる人が少ないと言うこと。検事になるより、弁護士、と言うことらしい。

確かにあれだけ大変な試験を突破したら、どうせならお金がたくさんもらえる職業のほうが魅力あるに違いない。
確かに、弁護士は副業が出来るしね。
イケメンだったりすると、テレビのコメンテーターで活躍できるし、どこかの知事になっちゃったりするし。

検事だとこうはいかない。
テレビなどの副業が出来るのは現役を退いてから、だもの。
テレビのサスペンス物では、検察官ってすごく憎らしい顔の人が演じてるし(笑)
あまりイメージ良くない(東京地検は凄いって思うけど)
司法のレベルを保つなら、検察官の給料を高くするべきじゃないだろうか。



手作り味噌 3

2008-10-09 10:01:08 | 料理
この冬仕込んだ味噌。
少々のカビは発生したものの、夏を乗り切り。
そろそろ食べてもいい頃か?
と思い、少々味見したら。



うわー、しょっぱい!
世の中なんでも減塩の時代を逆行するがごとき、しょっぱさ。
これならなるほどカビもあまり生えないわけだ。

でも味噌汁にするなら、味噌加減でどうにでもなるだろう。
と思って、早速トン汁を作る。



いやー、これが美味しい。
飲んだ後にほんわりと甘みを感じる。
大豆の甘みなんだろうか。

少しずつ食べつつ、残りは熟成させていこう。
手作り味噌って簡単に出来て、しかも美味しい。
来年はもっとたくさん作ってみようかな。

[手前味噌]自分の家庭で作った味噌を自慢することから
      自分のことをほめる、自慢。

まさに、この状態。