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今日はなにいろ?

読書メモ 太宰治 カフカ 伊坂幸太郎などなど

2013-04-17 10:44:07 | 読書感想文
昨年はほとんど本を読まなかった(威張っていえることじゃないけど)
最近、また本を開く時間が増えつつある。

最近読んだ本をメモ。

スマートフォンのアプリに古い作品が無料でダウンロード出来る物がある。
これで今まで読み逃していた古典作品を読めることが出来る。ありがたいことだ。

「変身 フランツ・カフカ」
ある朝目覚めると巨大な虫になっていた と言う有名な一文で始まるお話。読んだことはなくてもこの一文だけはよく知っていた。
結局、主人公は虫のままその一生を終える。救いも何もない。
印象的なことは、虫が死ぬとその家族は幸福に包まれるのだ。虫が彼らの家族である、と言うのに。
まあそれが正直な気持ちだろう。

深読みすれば、家族とは言え、自分に被害(精神的、肉体的)を与える家族は害虫と同じであって、それがいなくなれば(死ぬ)幸せなことなのだ。
たとえば家族の誰かが家庭内暴力をふるうとか、寝たきりになるとか、痴呆症になるとか。

「斜陽 太宰治」
文庫本を購入していたにも関わらず、スマートフォンのアプリで読んでしまった。時間があるときに軽く読めるのがありがたい。
今頃になってなんだけど、太宰治の凄さに圧倒されている。
日本にもこういう貴族がいたんだろうなあ。

「銀河鉄道の夜 宮沢賢治」
何度読んでも物言えぬ悲しみに包まれる。
悲しいけど美しくもある。
宮沢賢治の想像力とそれを言葉に表す才能の素晴らしさ。

「モダンタイムス 伊坂幸太郎」
相変わらず伊坂作品は面白い。
サクサク読めて、続きが気になって止まらない。
はずなのだが、後半からたるんでしまった。
これ、週刊誌か何かの雑誌に長期掲載されたらしいが、そのために文章を伸ばした感がする。
あるいは、文庫本にする時に筆を入れたらしく、そのあたりの違和感なのか。
だが、検索すると殺し屋がやってきたり、自殺したり、痴漢に仕立てられたり。その発想は凄い。
まさに、現代のツボ。
検索しない日はない。
目の付け所が違います、伊坂さんは。

「あるキング 伊坂幸太郎」
面白い。これはいつもの伊坂作品として、サクサク読んでしまった。
王が生まれる時、古い王が死ぬ。そんなテーマは他でも目にした事はあったが、舞台は野球。
それが新鮮。
野球の神様、と言う表現はよくあるけど、王様と言うのは珍しい。
楽しい作品だった。

人間失格 太宰治

2012-11-02 10:52:06 | 読書感想文
喫茶店で時間を潰すため、本を買おうと本屋へ向かった。
最近本を読んでない。
最後に読んだのはいつだったか覚えてないほど。
スマートフォンを使うようになってから読書の習慣がなくなってしまった。
気がつけばスマートフォンをいじっている。
かと言って電子図書は自分には不向き。
ネットのニュースに時間を費やす日々。

古典が読みたくなった。
「銀河鉄道の夜」とか。

目に留まったのは太宰治の「人間失格」
未読。
値段も安いし、薄いし、時間つぶしには丁度いい。

と思って読み始めたのだが。
時間つぶし、とは大変失礼な言葉でした。
夢中になって読み漁った。
こんなに読書が楽しいと思ったのは久しぶり。

悲惨なのだがどこかコミカル。
「解説」で津軽の民族性に影響があると言う一文を読んで、なるほど。

本にマーカーでしるしを付ける人がいる。
そう言う習慣はないのだが、思わずマークしたいと思うほど、納得、と言う文章があった。

「私」が友人から「世間がゆるさないからな」
と言う言葉を投げかけられた時。

「世間と言うのは君じゃないか」と言う言葉が舌の先まででかかった…。
と言う文章。

うーむ、なるほど、これは今でも、さらにはどんな状況でも通じる言葉ではないだろうか。

テレビのコメンテーターが
「世間の人はそれを許さないでしょうね」とか、
親兄弟がしたり顔で
「世間じゃ通用しないよ」
と言ったり。

そうだ、そうだ、世間が~と言う言葉は言っている本人のことじゃないだろうか。
まさにその通りだと思わず、その文章に線を引きたくなったのだ。
まあ、線は引かなかったけどね。

それ以外にも読んでいて、頷けるところが多々あり。とても「世間」じゃまともに見られない主人公であるのだけれど。

そして最後、思わずジーンと胸が熱くなる。
主人公のことを語るバアのマダムのひとこと。
「神様みたいないい子でした」
本を読んで胸がジーンとなるなんて、ほんと、久しぶり。
次は「斜陽」を読んでみよう。



ザ・ロード

2010-10-07 10:22:22 | 読書感想文
ヴィゴ・モーテンセンは「ロード・オブ・ザ・リング」で大ブレイクしたのだから、どんな映画でもよりどりみどり、シネコンでやるような娯楽映画とか、いわゆる、儲かる映画に出演出来たろう。

が、ロード・オブ・ザ・リング以降彼の出演した映画で、私の観た映画。
「イースタン・プロミス」
当時(2008年10月)これを観た感想を抜粋。
「”ロード・オブ・ザ・リング”であれだけの名声と地位を築いたヴィゴ・モーテンセンならどんな役でも選り取りみどりだと思うのだけど、彼はなぜこの映画を選んだのだろうか、と観ながらずっと思っていた。
駄作ではない。むしろ最初から最後まで緊張が解けないサスペンスとしてもドラマとしても最高の作品。
ヴィゴの演じる役、これが最低の男なのだ。少年時代に刑務所で過ごし、今はイギリスで暗躍するロシアマフィアの仲間に入ろうと、ボスの息子の元で、何でもやる男と言う役柄。
運転手から、死体の始末(身元がばれないように指を切り落としている)命じられるままに娼婦と交渉を持ち、一般市民を脅し…」

と、最低な男を演じたヴィゴ。
が、最後に彼の正体が分かる。
そして、私の感想はこう締めくくっている。

「ヴィゴがなぜこの映画を選んだのかよく分かる。彼にしか出来ない役だ。素晴らしい」

今回観た「ザ・ロード」これも結局これと同じ感想になる。
彼でなければこの映画は出来なかったろう。
感想はcinemaにて。

天ぷらにソースをかけますか?

2010-09-17 10:23:41 | 読書感想文
今読んでいる本は野瀬泰申著の「天ぷらにソースをかけますか?」と言う地域の食文化の本。
この本によると西日本の人は天ぷらにソースをかけて食べる、あるいは食べたことがあるようです。
それ以外にも、ぜんざいとお汁粉についてとか、肉はブタか牛かとか、ちらしかばらか、などなど、今まで普通だと思っていたことが実は地域によっては違っていたと言う、ちょっとビックリな、本です。

著書は食文化=食の方言だと捉えていますが、なるほどそうなんでしょうね。
親や周りの人が喋っている方言と同様、小さい頃から口にしてきたものが、食文化になるのでしょう。

「秘密のケンミンショー」とか言う番組を見て、他の県の食文化を「へ~~」とか「え~~」とか、限りなくバカにしたようなコメントやらアクションを取るのを見て、バカじゃないかと思いました。
食文化に正しい、間違いはないでしょう。
鯨を食べようがイルカを食べようが、その地域で培われてきた文化なのだから他所の人がなんだかんだ言うなって言うの(私自身は鯨もイルカも食べませんが)

本の中に豚まん、あるいは肉まんの項目があって、肉まんに何かをつけるか?と言う質問には、辛子やら酢醤油など、いろいろ紹介されてました。
ここ数日秋風も吹き始め、そろそろあったかい肉まんもいいなあ、と思いミスドで肉まんを食べました。
今まで肉まんには何もつけないで食べてましたが、辛子はいいかも、と思いました。
今度コンビニの肉まんで試してみようかな。



「犬はどこだ」 米澤穂信

2010-04-15 12:12:53 | 読書感想文
米澤穂信の「玉野五十鈴の誉れ」を読んだ時、面白い本を書く人だなと思ってそれ以来注目している。

2010年版「このミステリーがすごい!」では作家別得票数第1位になったそうで、本屋さんに彼の作品がずらり並んでいた。
選んだ本は「犬はどこだ」

帯に「衝撃のラストを見逃すな!!」の文字。
最近の本のコピーも派手ですねえ。
映画並ですよ。
映画ならともかく、文章を読んでいて見逃すって(失笑)

それはさておき、確かに最後は驚きました。
探偵さんって一応正義感もあるんだろうって思っていたから。
これ、映像になったらすごく嫌な気分になると思います。が、文章なのでそれほどでもない。まあ、人間そうだろうなと思います。死にたくないもんね。

面白かったと言うか、興味をひいたのはトラブルの原因がネットにあった、と言うところでした。
BBSでのトラブル。
うわー、この粘着ぶりは怖いなあ。
そっか、何気に書いた文章から身元がばれてくるんですねえ。
これは気をつけないと。
へんなところに、非常に共感を持ちました

あのときの王子くん サン=テグジュペリ

2010-04-14 11:45:33 | 読書感想文
最近めっきり読書の時間が減ってしまった。
バスや電車を利用している時とかちょっと手が空いた時には読書と決めていたのだが、知らぬうちにiphonを手にしている
たいていゲームしてますが
でも、読書も出来るんですよね

著作権切れの本を読める無料のアプリがあって、そこで「あのときの王子くん」を読んだ。
あれ?イラストが「星の王子さま」とおんなじじゃん。
パクリかな、と思ったら。
こういうことだそうです。

訳者:大久保ゆうさんのことばから

日本では「星の王子さま」の邦題で知られているサン=テグジュペリの『Le Petit Prince』は、つい先年、日本における著作権が失効しました。そのため、誰もが自由に翻訳できるようになりました。この翻訳は、その恩恵を受けたたくさんの翻訳のうちのひとつです。

今回、この翻訳にはよく知られたタイトルではなく、『あのときの王子くん』という新しいタイトルが冠されています。そこには、今までこの作品に持たれていたファンタジーとしてのイメージを払拭し、また様々なしがらみからこの作品を自由にしたい、という意図が込められています。そして、この新しい邦題によって、『Le Petit Prince』がなぜこの原題でならなければならなかったのか、ということを、作品とともに皆様に感じていただければ、と思います。

そうなんだ~
でも、はっきり言ってどう変わったか、ずっと前に「星の王子さま」を読んだきりなので、分かりません。
家に「星の王子さま」の本があったので、あとでゆっくり読み比べてみようかと思ってます。
著作権の失効ってそういう恩恵もあるんですね。

いまのところ、ネットで本を読もうとすると限られた書物になってしまうようですが、はっきり言ってiphonやパソコンで読むのは、私はイマイチ好きじゃない。
やっぱり本をパラパラめくる感覚が好きだし
ただ、うっかり本を忘れてしまった時なんかは、ありがたい。
だから、日本もネットで本を読める環境がもっと整えばいいなと思ってます。
ちなみに、iphonで読んだ「あのときの王子くん」はちゃんと、カラーイラスト付きで、サン=テグジュペリの世界をしっかり味わうことが出来ました。




フロスト気質

2010-01-29 12:02:12 | 読書感想文
このブログに読書感想文を書くのは久しぶりだ。
本を読んでいなかったわけではない。

村上春樹訳の「世界のすべての七月」(ティム・オブライエン著)と言う本も読んだ。
50代過ぎたかつての大学の同級生が集まり、同窓会を開く。同窓会のシーンと、彼らの人生を織り交ぜた作品。
同窓会のシーンは退屈だったが、彼らの人生、これらがドラマチックでちょっとした映画みたい。

一ヶ月近く過ごした北海道でも本を読んだ。
割り当てられた部屋に大きな書棚があってそこにずらーっと文庫本が並んでいた。その数200、あるいは300?
まるで宝の山に入ったよう。
でも、慣れない生活にくたびれて本を読む気力が失せて。
が、読みやすい東野圭吾作品を中心に読んだ。
「赤い指」「黒笑小説」「ゲームの名は誘拐」「超殺人事件」「私が彼を殺した」「どちらかが彼女を殺した」などなど。
東野圭吾はさくさく読める。
ただし、飽きてくる

今年に入って初めて読んだ本は「フロスト気質」(R・D・ウィングフィールド著)
フロストシリーズ4作品目。

今回も大きな事件を軸に細々といろいろな事件が同時に発生。
事件のフルコースといった状況。
いつものメンバーに今回は女性刑事が参加。
憎らしいアラン警部は今回お休み。が、それ以上に憎らしい代行役がやってきて、いつものドタバタ劇が繰り広げられる。

フロスト作品を読んでいると、「おいおい、それはまずいでしょ」と思うところが時々登場。
今回も子供を刺す事件の容疑者を放免したり、飲酒運転で事故を起こしたり、これが本当の警察なら、とっくにフロスト警部はクビだろう。
が、まあ、小説だし、フロスト警部なら仕方ないかって感じ。

相変わらずフロスト警部はお下品でだらしなくて、その場その場で思いついて、脈絡がなく、名探偵とは程遠い。
が、こんなに愛すべき名探偵、ほかにいない。
読んでいて、時々声を立てて笑ってしまった。

あと2作品しか残ってないんだなあ(著書は2007年に亡くなっている)
早く読みたいような、勿体無いような…。

女王様と私 歌野晶午

2009-10-05 09:51:23 | 読書感想文
最初と最後の数ページ以外はぐちゃぐちゃ。
頭がウニになりそう。

まずは文体。
ひところ小学生を中心に流行った小文字使い。
ゃってなぃ とか
ゥチにゎ~ とか
読んでいて気持ち悪くなる。
今でも流行っているんだろうか、これ。
日本語じゃないよ、これ。

それはともかく。
内容もヘン。
本格的な推理小説かと思いきや、途中から「願い事を4回叶えてあげる」などと言う調子のいい展開で、絶体絶命の主人公が留置場から脱出できたりする。
挙句の果てに、塩ビ人形の”妹”が実体化している!?
なんじゃー、こりゃぁ。

と、残り数ページで真相が明らかに。
この、残り数ページで劇的展開、と言うのは歌野さんのよくやる”手”

でも、何だかなあ…少々釈然としない。
が、確かにこういう人、いそうだ。
自分の世界に閉じこもる、自分の世界を作り上げる、外の世界に出て来れなくなる。
現代の病みをずばり書き上げている作品、と言えるだろう。

七回死んだ男 西澤保彦

2009-09-28 10:07:56 | 読書感想文
本を選ぶ基準
1 好きな作家
2 話題になった
3 帯のキャッチコピー(このミス1位~なんて言う言葉には特に弱い)
4 本屋さんの宣伝

この本は本屋さんのキャッチコピーに惹かれて購入。
ちゃんと覚えてはいないのだが、「突っ込みどころもあるけれど、その設定には驚かされる~」と言うようなことを書いてあったような。
この「本屋さんの宣伝」なかなか的を射ていて、私が伊坂幸太郎を知ったのも本屋さんのキャッチコピーからなのだ。
さすが本屋さん。

さて、この「七回死んだ男」本屋さんのキャッチコピー通り、その設定には驚き。いままでたくさん本を読んだけど、こんな設定は初めて。
なるほど、これなら7回死ぬこともあるわけだ。

最後、ちょっと意外な展開があるので、頭が混乱したが、とにかくその設定の斬新さには読んでみて損はない。

これ、映画になったら面白そう。

Story Seller

2009-09-25 10:55:54 | 読書感想文
「読み応えは長編並、読みやすさは短篇並」
と言う売りが表紙に書かれていた。

どういう基準で編纂されたのかは良く分からないのだが、「旬」の作家を集めたのだろうか。
伊坂幸太郎の名前が真っ先に眼に入ったので、購入。
そのほか6人の作家の短篇集。

こういう作品を読むと新しい作家との出会いがあるのだが、この本の収穫は米澤穂信と言う作家さん。
「玉野五十鈴の誉れ」と言う作品が載っているのだがこれなかなか面白かった。
若い作家さんらしいのだが、文体が古風(設定も明治時代?くらいか)

あと佐藤友哉「333のテッペン」は文体が面白かった(結末はちょっと…)
伊坂さんは相変わらず。イチローの内野安打みたいなものか。

そのつながりで米澤穂信の「氷菓」を読んだ。彼のデビュー作品。
名探偵コナンの高校生探偵っぽい。
最初に出くわす謎はそれなりに面白かったけど、メインの事件はそれほど面白くないし、高校生がそんな言葉遣いやら態度を取るかなと言う違和感あり。
しかも表題が駄洒落だし