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今日はなにいろ?

ナイチンゲールの沈黙 海堂尊

2009-03-27 09:21:56 | 読書感想文
「チーム・バチスタの栄光」は面白かった。
現役の医師が書いているというので、医療シーンは臨場感にあふれ、医師ならではの目線で書かれていたし、推理小説としても、謎解きの面白さがあった。

海堂尊が次に書いたのがこれ「ナイチンゲールの沈黙」

はっきり言ってあまり面白くない。

臨場感あふれる医療描写、これは前回と変わらず。が、歌がうまい看護婦。彼女が歌うと、人々に映像が浮かんでくる…と言う、これがよくわからない。
確かにそう言う現象は現実にあるのかもしれないけど、誰もが誰も、経験することじゃないと思うのだけど、これを謎解きのひとつに使っているのは、推理小説としてどうかと思った。

それと、好みで言うと、海堂さんの文章、好きじゃない。

これで今年に入って8冊読了。

向日葵の咲かない夏 道尾秀介

2009-03-23 11:57:45 | 読書感想文
この作家さん、私はお初。

読み始めて「うーん」
主人公は小学4年生。彼のお供は3歳の妹と、死んで蜘蛛によみがえったS君。

なんだ、これは。童話か?ファンタジー?
が、そんなに可愛いものじゃないというのが、すぐに分かってくる。

主人公の少年。彼の母が、酷い。
家の中、ごみだらけ(ごみを出さない。そう言う人、確かにいる)
妹は猫可愛がりするけど、少年にはきつく当たる。暴力こそないけど、完全な児童虐待。

さらに、蜘蛛になった少年。
彼はどうやら殺されたようで、しかも容疑者は彼らの担任か?
その教師は男の子達にいたずらしている、変態。殺しの動機はそれの口封じ?

一人暮らしの老人、これも怪しい…。

さらには、連続して起きた、犬猫虐待殺し(手足は折られ、口には石鹸)

子供の語り口なので、一見、軽い物語のようで、実はどろどろ。
そして、最後には驚くラストが待ち受けている。
狂っていたのは周りの大人だけでなく、この少年も…?

昨年の「このミス」1位は伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」だったが、得票総数ではこの道尾秀介さんが、トップを獲ったとか。
なるほど、面白い小説を書く作家さんだ。またお気に入り作家が一人増えた。

クリスマスのフロスト

2009-03-09 10:41:49 | 読書感想文
その前に、歌野唱午の「ガラス張りの誘拐」を読んだのだが、これ、あまり面白くなかった。
ガラス張りの誘拐事件、そのトリックは?と言う肝心のトリック、これが全くダメ。
それに、事件を起こす犯人、その動機が不十分。そんなことまでするか?と思えた。
主人公の刑事。彼も情けない。
家庭事情が複雑とは言え、娘は家出、しかも売春までしているとは。
こんな娘に頭を下げて「返してください」と何度も叫ばせる、そのシーンがちっとも生きてこない結末。ずっと歌野、雫井、伊坂のトライアングルで続いていたけど、そろそろ違う作家の開拓にもあたらなければ。

そういえば前から気になっていた「フロスト」シリーズ。昨年発売された「フロスト気質」はこのミスの2位に入るなど、人気のシリーズらしいがまだ読んだことはなかった。すでに数作品が発刊されているのだが、やっぱりシリーズは最初から読んだほうがいいだろう。という事で最初に刊行された「クリスマスのフロスト」を購入。
この小説、分厚い!文庫本なのに940円するのだから、その厚さたるもの、分かるだろう。
ところがこの小説、一気に読んでしまった。
面白い!
なんせ、日曜から水曜まで事件の起きること、起きること。これ現実の世界だったらおまわりさん、過労死で何人死ぬか分からんだろうってくらい。
いくつもの事件がほぼ同時に発生し、それを刑事が追いかけていく小説を「モジュラー型警察小説」と呼ぶそうだけど、この小説はまさにその典型。
しかも、最後には見事すっきり解決している。

主人公のフロスト警部。彼の型破りはうわさでは聞いていたが、なるほど、なるほど。
カッコよくない刑事が難事件に挑むと言うパターンはよくある。
フロスト警部。彼はかっこいいとかかっこ悪いとか、それとは別次元。
とにかく、下品。品の悪いことはする、品の悪い冗談を言う。
提出する書類の期限を守らないから、みんなが困る。だが、嫌われてない。
この小説の中でも、お金に困った部下の不始末をこっそり、片付けたりしている。
ふむふむ、なるほど、人気があるシリーズのゆえんなのだろう。
しかも、内容も読み応えあるし。
このシリーズをしばらく読み続けていこう。