9月26日(読んだ本、『幽界森娘異聞』 再読)

 @rinakko
 【幽界森娘異聞/笙野 頼子】
 
 “「お茉莉は上等」だから愛されました。もし下等になったら、それでも森父は愛してくれたでしょうか。泥棒もお茉莉は上等ってそう言う森親父は、「泥棒は悪い、だからお前も悪い、でもお前は私の娘だたとえ悪くても」とは言わなかった。上等でなければ娘ではなかったのか。”

 偏愛本。「森茉莉が好き」と言ったとして、でも私の好きな森茉莉と他の人たち(例えば所謂ファン、とか)の好きな森茉莉は同じではないかも知れない。…という感覚はわかる。で、笙野さんにとっての “好きすぎる程だった純文学境界例異色作家”の森茉莉は、ここでは“森娘”として語られる。無批判な心酔からは程遠い直ぐな眼差しが、森娘に注がれている。
 終盤の、森娘の好きだったハンバーグを食べようと出かけたのにその店(スコット)にたどり着けず、偶然にこれまた縁の蕎麦屋に行きつく件もぐっとくる。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )