1月に読んだ本

1月の読書メーター
読んだ本の数:21
読んだページ数:6305

遠い声遠い部屋 (新潮文庫)遠い声遠い部屋 (新潮文庫)の感想
10代の頃に読んで以来。憶えていたのは“沈みゆく邸”。グロテスクな現実を目の当たりにし、もう夢を想い描いた時間へは戻れない。少年の味わう幻滅は、13歳だからこそあまりにも深く(誰にも顧みられぬ死のように)、待ち受ける残酷な覚醒がいたましい。“そして彼らも、みんな一人残らず、邸とともに沈みかかっているのだ。部屋の中を歩きながら、ジョエルは陽の光を奪われた廊下にもぐらたちが銀色のトンネルを掘りめぐらし、ひょろひょろした石竹が土に埋まった部屋から伸び出し、髑髏の目玉からライラックが血を吐くさまを想像してみた。”
読了日:01月30日 著者:カポーティ
アガサ・クリスティー自伝〈上〉 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)アガサ・クリスティー自伝〈上〉 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
読了日:01月27日 著者:アガサ クリスティー
ドラゴン・ヴォランの部屋 (レ・ファニュ傑作選) (創元推理文庫)ドラゴン・ヴォランの部屋 (レ・ファニュ傑作選) (創元推理文庫)の感想
隅々まで堪能したわ。「ティローン州の・・」が再読だったのは嬉しい驚き。何が待ち構えているの…と頁を繰る先に、渓谷の断崖に建つ古城や、アイルランドの森や湖の眺めが広がっていた。ゴシック小説の流れを思わせる短篇、妖精譚、ジャコバイトに端を発しつつ可憐な娘の変貌に戦慄する話。そして表題作では冒険と驚異が。犯罪に巻き込まれているのに気付かない主人公は、美貌の夫人に焦がれて深入りしていく。仮面舞踏会という見せ場、『ジェイン・エア』、生き埋めの夢…など、好きなものがぎゅっと詰まってる感のある中篇、はらはらと楽しかった
読了日:01月26日 著者:J・S・レ・ファニュ
代価はバラ一輪 (現代教養文庫―ミステリ・ボックス)代価はバラ一輪 (現代教養文庫―ミステリ・ボックス)
読了日:01月24日 著者:エリス ピーターズ
門前通りのカラス (現代教養文庫―ミステリ・ボックス)門前通りのカラス (現代教養文庫―ミステリ・ボックス)
読了日:01月23日 著者:エリス ピーターズ
ゆきしろ、ばらべに―少年傑作集―ゆきしろ、ばらべに―少年傑作集―
読了日:01月23日 著者:鳩山郁子
コーネルの箱コーネルの箱の感想
再読。
読了日:01月20日 著者:チャールズ シミック
約束のない絆 (パスカル・キニャール・コレクション)約束のない絆 (パスカル・キニャール・コレクション)
読了日:01月19日 著者:パスカル キニャール
雪男たちの国雪男たちの国の感想
再読。雪…といえば思い出す作品。崩壊した精神の幻視の中に降り積もる雪、ではあるが。南極探検に参加した…かのように語る人物の、奇想豊かな日記。この旅の目的地が、“到達点という概念として在るのみ”つまり“極点は無”であるというのなら、そもここに描かれた南極自体がどこにもない南極だ…と思いつつ、美しく奇怪な妄想の檻に囚われる。凍った影、燃え上がるオーロラ、訪う女たち、異界からのワルツ。極限状態の中、絶望の針は振り切れてしまう。ただ狂気の牢獄…ピラネージの牢獄は、じきに出来上がるだろう(と、ベルデンが言っている)
読了日:01月18日 著者:ノーマン・ロック
ウォーターランド (新潮クレスト・ブックス)ウォーターランド (新潮クレスト・ブックス)の感想
再読。素晴らしい読み応え。〈無〉のような、おとぎ話のような、水とよく似て平坦なフェンズの風景に憑かれる。めぐる歴史、人の営みに凝り続ける悲哀と遣りきれなさと滑稽と、取り残された愛おしさの物語が紡がれる。同時に色々な感情を喚起されて、泣き笑いみたいな心地で読み耽った。其処彼処の符牒を繋げながら…。ビールと水とに侵される故郷の歴史(“水の中からビールを”)、粘液質的沈着…というクリック一族の気質、幼馴染の恋、美しすぎた母のおとぎ話、フランス革命、そしてウナギをめぐる謎について。とりわけ今回はメアリのことを思う
読了日:01月17日 著者:グレアム・スウィフト
鱗粉薬鱗粉薬
読了日:01月14日 著者:津野 裕子
ヴェネツィア―水の迷宮の夢ヴェネツィア―水の迷宮の夢
読了日:01月13日 著者:ヨシフ ブロツキー
人形 (デュ・モーリア傑作集) (創元推理文庫)人形 (デュ・モーリア傑作集) (創元推理文庫)の感想
ぞくり、ぞわり…ひき込まれ頁を繰る。これで“初期”か…と、そこにも慄く短篇集。平穏を装う為に現実を取り繕う薄っぺらな皮は、他人の本性も欺瞞も見えなくする。それは本当はとても危うい状態で、ふとしたことでぺろりと剥げる。隠れていた怖いものが顔を出す…その暗転を描く巧みさが憎いくらい素晴らしい。表題作は、その名もレベッカという美女に恋焦がれて破滅する男の話で、すこぶるお気に入り。「性格の不一致」や「ウィークエンド」ではひたすら苦笑い。ジェイムズ・ホラウェイ師の2篇も相当だが、「笠貝」はもっと厭過ぎて凄く好きだ。
読了日:01月12日 著者:ダフネ・デュ・モーリア
最後の注文 (新潮クレスト・ブックス)最後の注文 (新潮クレスト・ブックス)
読了日:01月12日 著者:グレアム・スウィフト
十蘭レトリカ (河出文庫)十蘭レトリカ (河出文庫)の感想
再読。
読了日:01月10日 著者:久生 十蘭
十蘭万華鏡 (河出文庫)十蘭万華鏡 (河出文庫)の感想
再読。
読了日:01月09日 著者:久生 十蘭
修道女フィデルマの探求 (修道女フィデルマ短編集) (創元推理文庫)修道女フィデルマの探求 (修道女フィデルマ短編集) (創元推理文庫)
読了日:01月08日 著者:ピーター・トレメイン
修道女フィデルマの洞察 (修道女フィデルマ短編集) (創元推理文庫)修道女フィデルマの洞察 (修道女フィデルマ短編集) (創元推理文庫)
読了日:01月07日 著者:ピーター・トレメイン
芸術新潮 2016年 06 月号芸術新潮 2016年 06 月号
読了日:01月06日 著者:
ポーランドのボクサー (エクス・リブリス)ポーランドのボクサー (エクス・リブリス)の感想
素晴らしい読み応え。連作として読めるので、一篇一篇が繋がりあう奥行きに捕り込まれた。寄る辺のない旅をしていたような読後感。境界を超えることへの拘り、“内面の革命”をめぐる思惟。どこにもないと知りつつ、答えを希求する切実さが胸に迫った。短篇小説講読クラス…という場面から始まる「彼方の」や「トウェイン‥」では小説への言及も多い。そしてピアニストのミランが登場すると、描かれる世界がぐうっと押し広げられる。ミランの絵葉書が、祖父の記憶が、深くて重くてもっと孤独な旅へと、ハルフォンの背を押す。探しにおいで、とでも。
読了日:01月05日 著者:エドゥアルド・ハルフォン
J・G・バラード短編全集1 (時の声)J・G・バラード短編全集1 (時の声)の感想
ここに収められた短篇はどれも再読ではあるが、あらためて発表年代順に読んでいることが特別に思えてとてもよかった。次の巻も楽しみ。
読了日:01月04日 著者:J・G・バラード

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