カルロス・フエンテス、『アウラ・純な魂』

 『遠い家族』が大好きだったフエンテスの短篇集。『フエンテス短篇集 アウラ・純な魂』の感想を少しばかり。

 大変に好みな短篇集だった。幻想と怪奇性、何処までもまとわりつく死の気配。ひたひたと忍び寄るような小昏い翳りが、心を捕らえて離さない。そして、怖くて不気味だったり醜悪だったりしたはずの何かが、ふっと向こう側へ行ってしまうあの、おぞましいは美しい…にぶれて見えてくる瞬間が、ぞくぞくするほど良かった。むしろ静謐…な印象すら受ける抑制の効いた文章で語られているのが、尚のこと素晴らしいと思う。
 
 私がとりわけ好きだった作品は、表題作の二つや「女王人形」。
 一枚の奇妙なカードに導かれて、少年のころ一緒に遊んだ鮮やかな少女のことを思い出した“僕”。成長したアミラミアとの再会に甘い期待を抱いて訪れた、その家で目にしたもの…。だんだんに妖しくなっていくゴシックな作風を堪能して、ラストで戦慄した「女王人形」。
 メキシコとヨーロッパに離れて暮らす兄妹が、取り返しのつかないほどに決別していく顛末を、妹による独白と兄が妹にあてた手紙を使って、残酷に描き出した「純な魂」。妹クラウディアが兄へ寄せる近親相姦的な愛と、恋人クレールへ向けた激しい嫉妬。それらゆえにつのっていく言葉の狂おしさと厳しさが、ひりひりと迫ってきた。これもラストが怖い…。
 そして「アウラ」。条件の良い求人の広告に目をとめた“君”は、老婆と若い姪がひっそりと住んでいる家に滞在して、依頼された仕事にあたることになる。だが、彼女たちの驚くべき本当の姿は…という冥界譚。毎食出てくる腎臓料理、螺旋階段、悲しげな猫の鳴き声、垣間見てしまった老婆の狂気。始めの内はちょっと変だなぁ?という印象程度だったのが、家中にあふれる異様さに怖ろしくなってくる頃には“君”はもう捕り込まれている。逃れられない。もっともおぞましく、美しい作品だった。解説で「雨月物語」からの影響のことを知り、得心した。
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7月7日(木)のつぶやき

06:52 from web
おはようございます。雨降りだけれども七夕さんおめでとさん。とうとう誘惑に負けてあいすこーしー。うまし…。
08:11 from web (Re: @naoko_1999
@naoko_1999 ん?近所の本屋さんでも見かけましたよ~。私も買ってこようと思っていたところです。
15:01 from 読書メーター
【ロコス亭 (奇人たちの情景) (創元ライブラリ)/フェリぺ・アルファウ】を読んだ本に追加 →http://bit.ly/juBUCO #bookmeter
17:53 from web
アサヒのoffを切らしたのでヱビスにゃう。夫用に常備してあるのだけれど、たまにしかヱビスを呑まない私には濃ゆい…。
18:03 from web
揺れるのがよくないとか………。ふーむ、ユニクロのあれは揺れると思う。
18:23 from web (Re: @seicom
@seicom おお、スポーツ用は良さそうですね! 揺れたら邪魔ですものねぇ。いや、私はブラキャミを持っているのですがあれはフレキシブルです…。
18:28 from web
今夜はだーなさんが呑みで私一人なので、生春巻きと湯葉さえあれば良くね?という感じ。軽く(?)呑んで。らくちんぽいっ。
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