カリンティ・フェレンツ、『エペペ』

 『エペペ』の感想を少しばかり。

 学会が行われる目的地ヘルシンキにはたどり着けず、いずことも知れない都市の中心地に降り立ってしまった言語学者ブダイの孤軍奮闘記…とでも。
 様々な人種からなる稠密な人口、何をしようにも立ちはだかる長蛇の列(ホテルのフロントもエレベーターも公衆便所も地下鉄も…)、他人への関心を欠き殺伐とした人々の群れ…そして、言葉が全く通じないこと。幾つもの言語を解する優秀な言語学者であるはずのブダイが、音声を発音通りに写し取ったり文法を推し量ることすら困難なエペペ語…という設定がとても不気味で、いやが上にも不条理感をつのらせる。そんな大都市に抛り込まれて堂々巡りの苦戦を繰り広げる主人公の、隙間なく満遍なくいつまでも続く苦境が、あんまり気の毒で何度も笑ってしまった。

 都市で建設中の一番高い高層ビルは、ブダイが目にする度に階を増していく。崩れるぞ崩れるぞ…と、私は思っていた(バベルの塔的な)。終盤の展開に意表を突かれつつ、そこがまた面白かった。
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5月31日(火)のつぶやき

05:29 from web
おはようございます。こーしーなう。涼しい。昨夜はちと酒を過ごしたようだ…。
11:54 from 読書メーター
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