ハリー・ムリシュ、『天国の発見』

 素晴らしい読み応えだった。上下巻とあり二冊ともかなり分厚いのだが、面白くて気にならなかったほど。『天国の発見』の感想を少しばかり。

 天使に課せられた任務、モーゼの十戒の天上への奪還はいかにして果されたか――。
 オランダはハーグの街角で、二人の男が互いを見出すところから全てが始まる。片や言語学の陽気な天才オノ、片や女たらしの天文学者マックス。〈双子〉と呼び合う彼らが互いの存在にのめり込むことで、“二枚の鏡のような無限さ”がそこに生まれるのだった。よどみない理論、冗談と見解に溢れる理知的な会話の下で、二人は彼ら自身の話をしていた。そしてある日、チェロを弾く一人の若い娘アダに会う…。
 天上における天使の70年にわたる巧緻な企みは、それを知る由もない地上においては運命の歯車がごとり、ごとり――と回る音そのもの。天使の待ち望む使者の誕生に漕ぎつけるだけでも、マックスとオノそしてアダの三人の関係は、揺らぎ変化しそれでも物語の中を突き進んでいく…そこに待ちかねる何をも知らず。

 訳者あとがきにもあるように上巻は、三人(マックス、オノ、アダ)が中心となる心理小説とも読め、下巻からが運命の美貌の少年クインテンの成長と冒険を描く流れとなっていく。そのいずれにしても、聖書がそもそもの題材となっているにも関わらず、宗教や信仰の話には偏らず、美術史や哲学、音楽理論などの話もふんだんに盛り込まれている。それに何より何と言っても!マックスとオノの深い友情、アダをめぐる各々の葛藤、アダの母親ソフィアの存在、不可解な少年クインテンの成長…と、物語の流れそのものがとても面白くて、天使たちの思惑などはどこかへ忘れ去りそうになってしまう。
 ユダヤ人の母親を持つマックスの、戦争とナチへの憎しみ。三人の間で起こる裏切りや別れ。そういった哀しみを悲哀たっぷりに描いたりしない、重たくて深刻な事柄をずっしりと圧し掛かるような重みでは扱わない、どこかに風穴が開いているみたいな独特な作風に、すっかり安心して身をゆだねるように読み進むことが出来た。

 この物語は、任務を果たし終えた天使が智天使(ケルビム)に向けての報告の為に延々物語っている、という構成になっている。その天使が上司に言った、「厳密に必要なこと意外、なに一つ起こらなかった――」という一言が忘れがたい。
 あと、いよいよ終盤に入ってからの思いがけない楽しさと言ったら! 快哉!
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9月17日(金)のつぶやき

09:14 from web
おはようございますー。好きな顔……かあぁ。佐藤浩市とか、最近は伊勢谷友介かな。鋭角きついけれど。皺の似合う顔が好きかも。てか濃いか。
09:15 from web
明日からの三連休、半分は一人で過ごせると言うのが釈然としない。
09:17 from web (Re: @choroimo
@choroimo イケメン好きのchoroimoさんに認められた!よかった~。
09:18 from web (Re: @choroimo
@choroimo あ、あれ?ひさしぶり? ぎゅっ!
09:19 from web (Re: @choroimo
@choroimo 伊勢谷友介も見てくださいね。龍馬伝に出てくるから。
09:24 from web (Re: @catscradle80
@catscradle80 私は断然そうです。大人の色気が必要だなー。あと、苦味ばしって欲しいです。
09:27 from web (Re: @choroimo
@choroimo まだまだ先です…。高杉晋作ですから。頑張ってくださいっ。たぶんそろそろ死んでしまうから。
09:29 from web
髪型変だけれどね(ぼっそり)。>高杉晋作
09:33 from web (Re: @choroimo
@choroimo 沙悟浄のようなドングリのような。前髪ぱっつんです。
09:46 from web
冷蔵庫に、冬季限定のメルティーキッスがある。夏越えしてしまった。
15:04 from web
牡蠣のオリーブオイル漬けを仕込む。楽しみだ♪
17:02 from web
あと少しで読み終わってしまうのですが、めっちゃ面白いのですが! だーなさん出張で今夜は一人だから、ラストはゆうるりと楽しもう。いひ。
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