津原泰水さん、『琉璃玉の耳輪』

 原案が尾崎翠と。もうそれだけでも卒倒してしまいそうに楽しみで楽しみで、読む前から鷲づかみにされていた作品なのであったことよ…。タイトルの響きだけでもうっとり。
『琉璃玉の耳輪』の感想を少しばかり。

 美しい三姉妹が艶やかに手招きする。気まぐれにすり寄りまた逃げるように、挑むように惑わすように艶に妖に、逃げながら振り向いては妖しく手招きする――。そんな、蠱惑に満ち満ちた物語をしばし彷徨った。琉璃の残光をたどりたどり。 
 琉璃玉の嵌った白金の耳輪をした三姉妹の行方探し…というその設定だけで、どんなに胸躍り心を虜にする魅惑の世界へといざなわれることか…と、わくわくする気持ちでいっぱいになりながら頁を繰った。そしてその高揚はいつまでも途絶えることなく、次の展開へ次の展開へと待ちうける物語に気ばかりが逸ってしまうのだった。

 時は昭和3年と――。例えば優雅と下世話が、例えば清廉と変態が高邁と下劣が悲哀と滑稽が、良くも悪くも渾然と混じり合いながらえも言われぬ味わいのマーブル模様を描いて見せる、そんな時代。混沌、猥雑、それゆえにこそ、どんなに奇想天外なことでも起こってしまいそうな気がしてくる、その高揚感。
 まさにそんな時代の息吹が吹き込まれたみたいな登場人物たちが、活き活きと物語の中を縦横に行き交って織りなす模様の妙。三姉妹三様の物語に、繰り返す邂逅。彼女たちを捜し出そうとする者たちの思惑も縺れ絡み合う。モダンガールの容貌と風変わりな特技を持つ女探偵や、三女の美貌を垣間見てしまう放蕩の貴公子、二つ名を持つ名うての女掏摸、軽業師の女、老刑事…それぞれの活躍暗躍。魔都東京の阿片窟には、闇に巣食うような金髪美女の存在があり、そし何と言っても、邪な我執にとり憑かれた変態性欲の男が、毒々しい灰汁の強さを撒き散らしながら物語を牽引し、悪役としての務めを十二分に果してくれることと言ったら…素晴らしい。
 そも、物語の大本にある琉璃玉の耳輪という謎自体が、何とも珍かな美しい光をまとったイメージで胸に植え付けられるので、読んでいる間中ずーっと、琉璃の光を彼らと一緒に追っているような気持ちになれて楽しかった。
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9月13日(月)のつぶやき

07:07 from web
おはようございます。月曜日は雨模様…。径の小さい目玉焼きを半熟以前の状態に作り(途中まで枠使用)、パタンと折りたたむ。そこで押さえたいけれど押さえ過ぎると黄身が流れ出しちゃうから慎重に。…というのを朝から実験。黄身がど真ん中だと上手くいかない。そも、径を小さくするとたたみにくい。
07:47 from web
朝ご飯は黄桃の冷製パスタ。食べおさめかな。
10:08 from web
雨が篠突きだした。冷たい飲み物があまり嬉しくもなくなってきたのに、惰性でアイスコーヒーにしてしまう。
17:50 from web (Re: @massirona
@massirona Perfume、私も好きですよ~。特に「⊿」をしょっちゅう聴いてます。そうそう、耳馴染みがいいですよね。構えないで聴けるところも好きです。可愛いし(笑)。
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