goo blog サービス終了のお知らせ 

イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

涙なんていらねえよ、夏

2008-08-25 21:16:19 | 四季折々

日本の過半数の小さいお友達が、いまごろ夏休みの宿題追い込みにターボかかってる頃と思いますが、北国の当地では例年81820日頃に二学期が始まるのがつねです。

夏の名残を空や雲の色にとどめながら、風や空気の匂いが先んじて秋を運んでくるようなこの“8月の学校”の約10日~2週間ほどが、中高時代は結構好きでしたね。空気に力が抜けた感じ、無色透明感、いい意味の虚脱感とでも言うのでしょうか。

9月に入ると学校祭だの体育祭だのが近づいて来て、“ひとつの目標に向かって大勢の体温が上がってわっせわっせと集中している雰囲気”の中にいるのが苦手な月河にとっては、学校がますますイヤな日々が来るのです。

もちろん北国でも、お盆過ぎてからもしばらくたっぷりこってり残暑な年もあり、そんなときは「本州の学校はいいな」と思わないでもありませんでしたが、「でもあっちは冬休みが短いんだから結局同じか」…とにかく“学校始まったらいきなりイベント攻勢の9月”じゃ息苦しくて耐えられなかったでしょう。

今日の当地は、当時の月河の、一年間でも本当に僅かな“ストレスレス・シーズン”にふさわしい晴天清風の日でした。

でも、今日ラジオでお昼のニュースを聴いていたら、最近は週休二日制で授業時間が減った分を補い、昨今とかく言われる学力低下を挽回するために、東京の公立学校でも夏休みを数日短縮し、二学期スタートを繰り上げるところがあるらしいですね。今日の東京は雨で、暑さは一服でしょうが、小さいお友達はやはり「なんでまだ8月なのに学校なんだよー」と思ってるんじゃないかな。学力低下は夏休みのせいではなくて、カリキュラムの工夫のなさや教員の能力不足に大半の責があるのに。

『白と黒』は第9週、40話に。

先週20日(水)放送の37話、ストーリーとしては“3年後”幕開けから、脚本が遠藤彩見さんに交代しています。複数ライターによるリレーローテーション書き継ぎ方式は帯の連続ドラマではごく普通のことですが、当然ながら方法論として長所も短所もあります。

お話の根幹が太くしっかり決まっており、かつ各脚本家間の力量にばらつきが少なく、世界観の共有がじゅうぶん成立していさえすれば、複数制はアイディアの方向性が広がり、ひとりのライターが煮詰まりながら絞っていたのでは思いつかなかったユニークな視点のエピソードで作品をいろどることができる。

反面、どうしても個々の脚本家さんごとに“得意ワザ”や“お気に入りキャラ”が違うため、局面的にふとした不整合も生じがちです。

例えば…と言っても月河の場合特撮しか自信を持って出せる例がないのですが、『スーパー戦隊シリーズ』などは1年間の本放送に夏休み劇場版も入れると45人、多い時は6人以上の脚本家さんが参加し、脚本家さんによって「つい重要な働きをさせたくなる、おもしろい台詞を言わせたくなる」キャラが微妙に違うことは結構あります。ある脚本家さんの担当回で強くカッコよかったキャラが、別の脚本家さんの回ではほとんど耳に残る台詞がなかったりもする。「あれ?今日の黒、なんかヘタレてたよな」とか、「あそこで鋭い台詞言うのが緑の担当なのに、なんでフレームの中に入ってないの?」とかね。

先週からの『白と黒』を受け継いだ遠藤さん脚本はどうでしょうか。

8週前半までの坂上かつえさん→岡崎由紀子さん→坂上さん、とリレーされてきた脚本を熟読して発酵させて、よく膨らませたなと思う箇所がかなりあります。

たとえば39話で、章吾(小林且弥さん)礼子(西原亜希さん)夫妻を、一葉(大村彩子さん)と聖人(佐藤智仁さん)が自分らの新居=青の館に招いての夕食の場面、一葉が「さあ食べて、頑張ったのよ」「心して食べてね、愛がこもっているから」と、本来応接用の小さなテーブル狭しと料理を並べ聖人にしなだれかかる場面は、明らかに15話の一葉「もうすぐ章吾の妻になるのだから、研究所の皆さんの健康管理も私の仕事」と一方的に大量の弁当を研究所内に広げた場面を下敷きにしています。手のこんだ豪華料理を“見せつけたい相手たち”に仰々しく披露する行動は“一葉という女性の思い込み体質”の象徴として使われており、視聴者の中にある15話の記憶を踏まえての見事な演繹です。

料理と言えば同じ39話で、結婚の決まっている若手研究員・小林(白倉裕二さん)に珠江(斉川あいさん)が「アーン」「…おいしい?」と“餌付け”するお昼休みシーンも、話数は忘れましたが序盤の小林が、章吾への礼子の差し入れを羨ましがったり、「また○○軒のラーメンに逆戻りかぁ、一葉さんのお弁当美味しかったな」と漏らして珠江にたしなめられる場面が下敷きになっています。

若手2人のイチャイチャ餌付けの前のデスクでは先輩研究員で恐妻家らしい中村(久ヶ沢徹さん)が「ったくコイツら(苛)」とばかり固まりながら、食べているのはやはり仕出しや出前ではなく布ナフキンに包んだ愛妻弁当。玄関ロビーでは研究所事務員として働き始めた一葉が、手作りサンドイッチを片手沿えた“お嬢様食べ”で頬張っており、“手作り弁当”が“(他人が見て評価する)幸福な家庭・結婚生活”の象徴として、これまたうまく前半のちょっとした場面を手がかりに敷衍されていると思う。

反対に「?」と首を傾げたくなり、どうしても「書き手が代わったからだよな」としか絵解きのしようがない違和感がたまさか感じられるのも事実。

例えば仮釈放され更生して大貫(大出俊さん)のワイン輸入販売会社で働き始め、一葉と結婚もした聖人が、かつて実母・彩乃の住まいだった青の館に住んでいる。大貫が身元保証人であり雇い主でもあるから辻褄的には合ってないことはないのですが、一葉が夕食後「家の中を案内するわ」「まだ引っ越したばかりで殺風景で」と礼子を招じ入れた寝室も含め、こういう境遇のカップルにどうなのよと思うくらいリッチゴージャス。

彩乃が有閑別荘族夫人たち相手のホストクラブまがいサロンを開いていた頃に比べれば確かに“殺風景”かもしれないし、両親に結婚を反対され連絡を絶っているとは言え社長令嬢の一葉ならこれくらいの暮らしはできて当たり前かもしれないものの、章吾礼子夫妻の東京事務所兼セカンドハウスのマンションより“質素でない”ってのはちょっと喉につかえる。

それよりいちばん承服看過しかねたのは、38話で入院した和臣(山本圭さん)に見舞いを拒否され、拒否する言葉を廊下で立ち聞きしていた聖人が「許してもらえるとは思っていない…」と涙ぐむのを見て章吾と礼子が驚きを露わにする場面でした。章吾などは研究所に帰ってからも「しッかし驚いたなー、あの聖人が泣くなんて」と駄目押し。

聖人の涙の扱いが“不当に重い”。正直、「そう言えば泣いたこと…なかったんだっけ?」と首を左右にひねりました。

前半の聖人が、“冷血鉄仮面型”の、たとえば97年『ストーカー ~逃げ切れぬ愛~』や99年『ラビリンス』辺りの渡部篤郎さんのようなタイプの悪に造形されていたら、そりゃキラッとでも涙を見せれば章吾礼子とともに視聴者月河もおーっと思い胸を打たれたことでしょう。

しかし前半の聖人は、ワルはワルでも本能踏み外し型、感情の振幅も表出も豊かなホットな不良で、家政婦路子さん(伊佐山ひろ子さん)やカノジョのサリナ(桂亜沙美さん)相手には身振り手ぶりジョークも披露して笑いを取り、一葉に悪戯仕掛けた後も「一葉も悪いんだぜ、美しい女性は存在からして罪なのさ」でご機嫌直させるような愛嬌上等な“男の小悪魔”の一面があり、「アイツが涙を見せるとは!オイ!大変だぞコレ!」と思わせるようなキャラとはちょっと違っていた。

『炎神戦隊ゴーオンジャー』で言えば、ガイアークのヨゴシュタイン様が汚泥の涙滂沱と流して号泣しても、客はアハハ面白がりこそすれずしんと胸にはこたえない。しかしヒラメキメデスがキラッとさせれば、それだけで一週間考え込んだでしょう。涙で観客を揺さぶろうと思うなら、“泣かないキャラ”造形に相当周到に時間・話数を割かなければ活きません

そうはあまり考えたくないのですが、新脚本の遠藤さんが、前半のチャラ風味暴れ小悪魔型の聖人をあまり好きでなく、それゆえ理解してもおらず、そっち方向にふくらませたくもないのかな?と思ってしまう。今作前半までの聖人の延長線で“礼子らが瞠目し「あの聖人がねぇ…」と当惑するほどの改心更生ぶり”を印象付けたいなら、むしろ泣くとか微笑むとか感情表出を封印して、もちろん一葉であれ誰であれ結婚なんか絶対にせず、「いいだろ?新婚なんだから」とのろけたりもせず、章吾にも礼子にも研究員や路子さんにも敬語で話し、それこそ丸刈りにして和臣快癒のための百日水垢離させるなど、“ストイック”“不言実行”“修行僧のような”反対角度の要素を詰めて表現すべきだった。

さらに言えば、いったんこうした感情封印鉄仮面方向に更生させ固めたままややしばらく走らせ、しかるのちに礼子に例のオルゴールを開かせ、「昔、聖人さん私に美味しい桃持ってきてくれたことがあったでしょ、ほら、こうやって剥くんだって教えてくれたわよね」てなひと言に聖人グラッ、キラッとさせて見せれば、それでこそ客も礼子も瞠目し哀切に胸を打たれるのです。

“悪役・仇役の涙”はそれくらい周到に、抑制的に使ってこそ底力を発揮する。

長丁場の連ドラ、脚本家交代がなくても、たとえば奇怪な仕込み料理や、普通だった人物の突然の泣き喚き狂乱を差し挟んだために、数十秒・数分で音を立てて瓦解するていの崩壊作品もあれば、今作のような“喉につかえる程度の不整合”が少しずつ重なって、静かに敗退していくタイプの失敗作もあります。

まだ5週残しているし、このままおめおめ負け勾配で行ってしまうとは考えたくありませんが、前半のほとんど大半を支えていた“聖人のダークな屈折の魅力”がここへ来て集中力を失いちぐはぐになってしまったのはもう取り返しのつかない事実。巻き返しはあるのでしょうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ワンジルより芋汁

2008-08-24 17:11:48 | スポーツ

シンクロ・チーム日本は5位、メダル無しの残念な結果に終わりましたが、“龍”の字のでっかい縫い取りつき水着はインパクトありましたね。「漢字ならウチらが本場のことある」とばかり中国チームも“華”の字を染め抜いたのをテクニカルルーティンで着てました。

確かに漢字のイメージ喚起力はギリシャやローマ文字アルファベットの比ではないですが、パッと見、ヤクザ…とまでは言わんでも、“族”とかデコトラを思い出させるセンスでしたな。ベースがキンキラ光りモノだしね。

文芸評論家・翻訳家・作家として昭和の一時代を築いた澁澤龍彦さんが、「(自分の名前がときどき“竜”彦と表記されることがあるが)“龍”なら爬虫類だが“竜”では両棲類になったような気がする」とどこかで書いておられたのを思い出しました。そういうイメージ規定力、書き換え力もあるんですね漢字には。

直前の演技順でライバル中国の完璧な演技を見せつけられ、極度の緊張の中で演技し切って、終わった途端に失神しちゃった選手は生きた心地がしなかったと思いますが、あれで減点されたわけではないしね。キラキラ水着の美脚美女がぐったり水中から抱え出されるシーンは、マニアにはこたえられなかったのではないかな(月河は違うけど。違うっつったら違うけど)。

むしろチームフリールーティン用の曲が『沙粧妙子』『真夏の薔薇』サウンドトラックを愛聴させていただいている岩代太郎さん作曲のオリジナル曲、こちらをじっくり聞きたかったですね。オリジナル曲を使ってもいいルールだったのも軽い驚き。“和”やエスニカルな要素を強調した音のようでしたが、部分的には『沙粧』の中のあるチューンを思い出させる、人間の呼吸や心拍音に親しい“岩代さん節(ぶし)”だったと思います。

日本が銅だったデュエットとの通算なら、井村雅代コーチを引き抜いた中国とは11敗。ハイキングウォーキングじゃないけど「妥当だよ」じゃないですか。前にも書いたけどどう見ても“王侯貴族の眼福”由来っぽいこの競技、CG合成使っても、美少女にクチパクでも見てくれ押し倒し勝ち」を何とも思わない国に、普通なら日本、勝ち目はないですよ。

男子マラソンも日本代表2選手が揃って無事完走で良かった。年代は忘れたけど宗兄弟や中山竹通選手、瀬古利彦選手の時代に比べて、この種目での世界と日本との距離は確実に広がっている印象。土地勘ない異国の42.195キロ、2時間余~10余分をひたすら自分と葛藤しながら走り切る愚直なエネルギーの戦い、いまどき日本の若い男子がこぞって参戦、切磋琢磨する人気種目たり続けるとも考えにくい。地獄の猛暑ハイペースの中13位まで押し上げた尾方剛選手は、俳優の三田村邦彦さんの一時期にちょっと似てますな。

五輪が終われば気持ちの上では08年夏も終了。報道では今月初旬に、すでに10月からの昼ドラ情報も公表されています。

『愛讐のロメラ』929日(月)1330~)中日スポーツサンケイスポーツの各記事によれば、“ロメラ”はスペインの歌曲の一種で“巡礼者”を意味するそうです。本当かなと思ってネットを使いいくつか検索したところ、ウソではなかった(そりゃそうだって)。

アンダルシア地方の西の海に突き出す港町・カディス生まれの明るいカンテ(歌曲)の中でも最も古いものだとか。カディスって?アンダルシアって?と極東の日本人にはピンと来ないことはなはだしいかもしれませんが、高校時代、受験科目に世界史を選んだ人なら、かのナポレオン・ボナパルトのイギリス上陸を阻んだ英雄ネルソン提督のトラファルガー岬沖海戦を思い出していただければ、カディスはその近辺です(「ますますわからなくなった」なんつってるのは誰だ)(月河だ)。

04年の『愛のソレア』と非常に近似したタイトルセンスですが、思い返せば10月~12月クールのこの枠、どうしてもクライマックスが暮れの公私慌しい時期と重なるせいか、印象深い傑作にめぐり会うチャンスが少ない“秋枯れ”のようなシーズンになりがちだったと思います。『ソレア』のほか、03年『真実一路』、01年『レッド』なども、前半は見逃せない情念稠密度で運んで来て、後半の息切れ感、テンションばらけ感がなんとも惜しかった記憶が。

栄えある(?)東海昼ドラヒロインにこのたび抜擢のいとうあいこさん。特撮ウォッチャーの月河にとっては何と言っても03『爆竜戦隊アバレンジャー』のアバレイエロー・博多育ちのらんるちゃんです。05『貞操問答』も偶然数話見ましたが、ヒロイン役のさくらさんと顔立ちが似過ぎで、あまりうまみのない役どころだったような。

“ヒロインを盛りたてる”体勢作りにおいては一日の長がある東海枠で新たな一面が見せられるといいですね。相手役と思しき男優さんたちも検索かけるとモデル経験ありなど美形揃いですが、あんまりごちゃごちゃすると「らんるちゃんひとすじなのはワニだけですベルベルー!!」とヤツデンワニが飛び出してきそうな気がまだするなあ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銅もどーも

2008-08-23 17:50:44 | スポーツ

北京五輪陸上男子400メートルリレー、日本の銅メダルももちろん嬉しいびっくりでしたが、何がびっくりしたってアンカーが朝原宜治選手だったのがいちばんびっくり。まだ走ってたんだ。て言うか代表に選ばれるタイム出し続けてたんだ。確か、オリンピックなら96年アトランタぐらいから出ずっぱりですよね。世界陸上ならその前からじゃないかな。

95年の某サリン事件の被告と姓の読みが同じだったので、スポーツニュースで小耳に挟んで「え?」と思い、画面テロップで見て「1文字違いでこの人助かったね、小学生とかだったらいじめに遭ってたろうな」と思った記憶があります。

調べたら、72年生まれ満36歳。うひゃー。36歳で100メートル10秒台で走る日本人がいるんだ。ボルト選手の世界記録とは違った驚きです。月河なんか36歳のときすでに、自宅の窓から見えるバス停まで走っても息上がって、膝笑ってゲホゲホよれよれだったと思うんだが。比較がなんぼなんでも無理か。

でもってさらに調べると、奥様がバルセロナ五輪女子シンクロ銅メダルの奥野史子さんなんですね。結婚されたときスポーツ紙かなんかで読んだ記憶があるようなないような。陸の代表と水の代表。森本レオさんじゃないけど異文化交流カップルですな。とりあえずお子さんの目が細そうだ(失礼だ)。

これでめでたく“パパママ揃って五輪ブロンズメダリスト”になったわけですね。“○○の鉄砲も数撃ちゃ…”なんて言ったら失礼に輪をかけますが、誰が見ても一枚落ちる力量であっても、自分たちのベストを尽くして辛抱強く挑戦し続ければ、何十回かに一度ぐらいは力上位のヤツらがミスして勝手に脱落してくれることもあるわけですよ。勝利の女神はたまにこういう「ワタシ微笑んだわけじゃないのよ、ちょっと頬っぺたがかゆくなっただけだからねッ」てなツンデレなスマイルをしてくれる。

まずはめでたい。パパとママでメダルの色が違ったら、朝原家の家庭内力関係的に問題あるかもしれないし。よっく磨いて2個並べて陽に当てといたら、そのうち金に変わるかもしれない(まさか)。

 再放送『その灯は消さない』は21日(木)に36話まで来て特番のため26日までお休みです。律子(吉野真弓さん)は川合(大橋吾郎さん)の示談解決金の半額500万円を、亡き実母の実家の養女に入る条件で芳枝お祖母ちゃん(東恵美子さん)から借り受け、代わりに川合に「一緒に松本の実家に行って」と迫っています。

フリーランスの暴露ルポライターとして、自由かつリスキーに生きてきた川合が、500万のカタに信州の造り酒屋の婿養子なんかにおさまれるわきゃないと、律ちゃんもアタマの隅ではわかってるんだろうけど、川合と切れることは智子(坂口良子さん)への敗北を意味するから、意地で離れられません。

律子に最後通牒渡されてからも智子に電話したり、絶対松本行きの土壇場で何かやるんだろうなと思える川合、もし律子の継母が智子でなく、智子と一生接点が戻らなかったら、あのまま“飛びたくて飛べずにいたお嬢さん”律子と、“開発がてら本気ラブラブ”で結婚していただろうか?と思います。律子から聞けば聞くほど“お母さん”が智子を思い出させる要素いっぱい、同一人物?まさか…という興味が湧かなかったら、結構、泣かれてもどうにかうまいこと律子ポイしてたんじゃないのかな。それくらいこの2人は空気感が不釣り合い。

現実的にも律子のような堅物大企業エリートの父の庇護でぬくぬく育ったお嬢さんに、ヤクザから恐喝受ける様なトップ屋稼業の嫁がつとまるとも思えない。

智子の親友でジュエリーショップ経営の弘美(山村美智子さん)がたぶんいちばん川合とお似合いでしょう。都会を漂泊する花形カタカナ職業の孤独、みたいな雰囲気がよくマッチ。

律ちゃんにはむしろ、若くてまっさらさわやかな独身男性がひとりぐらいアプローチしてきても良さそうなのに、一流メーカー花のOL一年生なのに…なんて観ているこっちのほうが母親みたいにやきもきするのですが、96年本放送当時は昼ドラに“若いイケメン”はまだ必須ではなかったんですね。

受験とエロ興味で忙しい長男健一くん(芦田昌太郎さん)が、継母をオンナとして意識し出して…という描写があったときには、“置きに行く”みたいな展開でちょっとなあと思いましたが、その後は遊び慣れた悪友の誘いで風俗初体験、気だてよさげな風俗嬢(有沢妃呂子さん)と昼間のデートにこぎつけ、こっちのほうが軽くお間抜けでおっとりお人良しな健一くんに似合っています。でもま、とりあえずは受験パスしないと健ちゃん的ハッピーエンドとは言えないかな。

36話では藤夫(柴俊夫さん)が役員秘書・桂子(麻生真宮子さん)の「抱いてください」攻撃に結局陥落。こちらは智子にバレてたぶん何回かボロ泣きされた後、結局は目が醒めるんでしょうな。

“隠した過去をめぐる家族の心の離反と解体、そしてひとりひとりが自分の道を見つけての再生”と言えば02年『母の告白』が思い出されますが、そもそも高辻家の嫁になる時点で背伸び感・幻想感を抱えていたあちらの藍(高橋ひとみさん)に比べ、こちらの智子は、仮に再生が見えていたとしても、堀口家が解体すれば立ち直れない喪失感を食らいそう。昼ドラらしい“女性客が見て救いを感じられる結末”のためには、律ちゃんも健ちゃんもパパもとにかく“和解して統合”を示さないといかんドラマじゃないでしょうか。

そのためには川合、弘美、桂子や風俗嬢など“家庭的なるもののアンチ”代表組には多少なりともワリをくってもらわなければならないのですが、本当にどうなるのかな。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミトコンドリア

2008-08-22 23:17:54 | スポーツ

うははは、やっちまいましたな星野ジャパン。準決勝韓国に26完敗。

出先のTVで岩瀬が2ランされたところをちょうど観ていたんですが、おっさんたちが半笑いで「もう全員中国から帰ってくんな」「中国人になっちまえ」「北京で大気汚染で死んじまえ、がっはっは」とか指さして罵倒してました。災難だね。

なんかこんなことになるような気がしてたんですよ。今大会、柔道の谷選手と鈴木桂治選手、陸上ハンマー投げ室伏選手、競泳の北島選手とサッカー反町ジャパン、野球星野ジャパンだけは「目を剥くものすごい結果か、巨大な期待倒れかどっちか」との月河予想だったのですが、どうでしょう。

いまのところ“予想としては土つかず”じゃないか。自慢してる場合じゃないか。この中では、気持ちを切らさずに3位決定戦で本領発揮した谷選手は本当によく踏ん張ったと思います。月河としても手ごわかった。予想として1“分け”に数えるか。「手ごわかった」って月河に言われたくないだろうが、YAWARAさん。

その谷選手は、実況席解説の山口香さんが「残り時間僅かで反則ポイントが上回り、引っくり返すには一本(勝ち)しかないという状況で残り10秒、5秒と時間を稼がれてしまう、谷選手が負けるとしたらこの形しかないという形に、残念ながらなってしまった」という意味のことを言っていた、その通りだと思う。鈴木選手は、初戦のモンゴル選手が最初からあの“注文相撲”を狙っていたのに対しあまりに無防備、ノー警戒。室伏選手は考えてみれば4年前、29歳のアテネ大会でもドーピング繰り上がりだったので、よほどのツキがないと五輪金は無理だった。反町ジャパンはそもそもマスコミが騒ぎ過ぎ。

そんな中、期待倒れフラグ山のように立っていたのに力ずくでねじ伏せた北島選手はお見事のひと言。メドレーリレーで、後輩たちがメダル圏に踏み止まれるギリまでリード広げてバトンタッチし銅をもたらした辺り、単純にツキというより“五輪運”の強い人なんでしょうな。引退しても競泳日本代表としてはコーチなりアドバイザーなり、この人を絶対アタマカズに加えて、できれば一生、開催地まで同行させるべき。

そして今日の星野ジャパン、やはり各プロ球団からの寄せ集め集団の弊というか、各人“所属チームで運を少しずつ使い減らし済み”なのがやはり痛かったかなと。韓国代表チームも同じでしょうが、「日の丸つけたヤツらには負けたくない」根性において若干上回ったのではないでしょうか。USメジャーリーグには及びもつかないとは言え日本国内では男の子諸君・女子アナたちの憧れ“五輪メダルボーナスなんかなくても高年俸”軍団、「韓国国旗を見ると闘志が湧いて来る」でモティベーション一本化とはいかなかったのではないかな。

いままでの五輪野球、決して淋しいメンバーではないのに金に手が届かなかったのは、実績のある選手、言い換えれば五輪以外の場所で勝負運を燃焼させ過ぎの顔ぶれを選んでしまったから。今大会もきれいに同じ結果が出た。

『白と黒』は第39話。絵ヅラ通りなわけがない、下心ウラ心あるに決まっている聖人(佐藤智仁さん)が、「本当にこんなに改心、更生しました」という了解取り付けに終始しているので、ちょっと退屈。すべては「本当は礼子と兄貴を陥れるためのカムフラージュだったのさ」が明らかになったときのドラマ的落差演出のためなのもまるわかり。

まるめ込まれて「罪を許せる人間でありたい、だから(聖人の)ワイン納品を許可する」と言う章吾(小林且弥さん)に「でも感情は別」と礼子(西原亜希さん)、「別な感情って何だ!?」と“本当は礼子まだ聖人を想ってるんだろう”疑惑の本音を垣間見せる章吾。聖人のウラ心に完全に「ワタシが救ってあげた人」と独占感持ってる一葉(大村彩子さん)が「やっぱり本命は礼子、忘れられなかったのね」と知ったときの逆上っぷりのほうが怖いですが、すべて、観ていてミエミエ想像つく範囲内。

35話からの展開をたとえば、こんなふうにしていればどうだったか。

       聖人が和臣に盛った毒物の量が微妙だったことが捜査立件上の問題となり、応急解毒処置をした礼子が「聖人さんは門前の小僧であの毒薬の致死量を知っており、わざと致死量に達しない量を盛って、いままで自分を蔑んできた父が苦しむ姿を見たかっただけで殺意は無かった」と証言する。

       章吾は礼子の証言を知ったが、理屈抜き実弟の聖人には軽い刑で済んで欲しいので、自分の書棚から毒物学の本を持って来て、当該毒薬の致死量と解毒法のページに、聖人が寝泊りしていた倉のヒマワリの種を挟み「僕の書棚から聖人が持ち出して読んでいた、聖人が致死量を知っていて避けたのはこれで明白」「聖人は引き出しから僕のノートを盗み出したりデジカメを借り出したりしていたからこの本もその延長」と、礼子の証言を補強する証言を。

       本の当該ページのヒマワリ種の油染みが新しかったこと、表紙や頁から聖人の指紋が検出されなかったことが担当刑事の不審を買い証拠採用はされなかったが、致死量を知っていて避けたはずという礼子の熱意ある証言は裁判で容れられ、聖人は殺人未遂ではなく傷害罪となり短い刑期で済む。

       聖人は本当は致死量云々を知らず適当にワインに混入したのだが、礼子が応急処置した者の強みで意識的に自分に有利な証言をしてくれたことを「俺への愛」と受け取り心の中にしまい、反論はせずに本来より軽く量刑された刑に服する。

       章吾は、礼子が自分に相談せずに聖人に有利な証言をしたことを「聖人に本当はまだ気が?」と懸念し、礼子は礼子で章吾が自分の聖人援護証言をサポートしようとしてくれたことを有難くも若干申し訳なく(でも実の兄弟なら当然かもと)思いながら、結婚生活3年(傷害罪ならもっと短?)の月日が過ぎる。

       聖人は礼子の章吾との結婚を服役中に知り、複雑な思いを味わい、仮釈放後、留学帰国後の空虚感からか妙に親切にしてくれた一葉と一緒になる。一葉の真意は?はたまた聖人は?

       心に聖人への愛を秘めつつ章吾に密かに後ろめたい礼子、礼子の真意を疑いながらも研究所と父の成功及び桐生家の安泰を願う章吾、礼子の愛を信じたいけれども兄章吾と結婚したことが受け容れ難い聖人、章吾への思いを断ち切って聖人に溺れ頼りたい一葉…44様の思いを抱え、「桐生聖人がまた何かやらかすとすれば、あの兄嫁=礼子が必ずキーパーソンの動きをするはず」と目をつけた刑事も外枠にとどまりつつ、第二部に突入。

 ……こんな筋立てを勝手に考えながら、実は今日お昼にコンビニに寄る時間があり、滅多にしないのですがTV誌で来週の概要を読んでしまったのです。

嗚呼。ひと言で言って、大幅に失望。読むんじゃなかった。聖人の行動、なかんずく動機、『美しい罠』と一緒じゃないか。3年前の礼子の地下フェンシング場での行動を、聖人がそんな風に、額面通りに取っていた方向で話が進むとは。

星野ジャパンではないけれど、敗色濃厚…あと5週を残してこの形容をこのドラマに貼るのは、あまりにも残念なのですが、どうもここからの巻き返しは易しくなさそうです。

それより今日は、病院のベッドの傍らで居眠りしてしまった路子さん(伊佐山ひろ子さん)にカーディガンをかけてあげようとして、「冷えるぞ」「体内温度が下がると細胞内のミトコンドリアがどったらこったら」と照れ照れで言い繕う桐生教授(山本圭さん)が好感度上げまくり。理想の高い学究ひとすじ努力家だけど、自分の価値観に合わない人間はいっさい認めない狭量さを第一部でばんばん打ち出していながら、一瞬でもここまで「かわいー」と思わせてしまうのは、山本さんの演技力と伊佐山さんの助演力。いやードラマはやはり脇役ですね。

つくづく「あとは脚本」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マーたいへん

2008-08-21 17:24:09 | スポーツ

シンクロナイズド・スイミングって、王族や貴族を戴く国のほうが圧倒的に強いでしょうね。

音楽に乗ってプールの中から若い美女の美脚がニョキニョキ突き出て、パッカパッカ開脚したり閉じたり、ザッパーン顔を出すとキラキラピチピチの水着にしっかり化粧していてニカッと笑う。それに点数つけて「あっちよりこっちのが綺麗だった、上手かった」なんて優劣決めて興がるなんてなぁ、絶対“皇帝”“皇太子”とか、“大公”とか“伯爵”、さもなきゃ“将軍”なんて立場の、それも男性限定に決まっています。貧しい庶民の娯楽やストレス解消であるわけがない。

案の定、デュエットの1位はロシア、2位スペイン、3位日本4位中国と、かつての絶対君主政国が上位を独占。5位でようやく“王侯貴族を戴いたことのない国”USA。ま、ここは何につけ“ショーの国”“ハデなことならなんでもの国”ですからね。

ドのつくウルトラ庶民の月河周囲の、中高年女性軍なんかにはこの競技ボロクソですよ。「何が綺麗なのか、見てて何が楽しいのかわからん」「親戚の子がメダル獲れそうとかだったら観るかも」「いや親戚じゃなく、自分の娘だったら、やりたいって言った時点で止める。もっと“恥を知った”スポーツやるか、さもなきゃ水着のイメージモデルにでもなってくれたほうがまし」……女性軍ほとんど、同じ“美を競う採点競技”でも、男女体操とか、冬季のフィギュアスケートなどは結構喜んで見ている人たちなんですけどね。

やはりあの“鼻栓ニカッ”で、直球で“愛想を振りまいている”感が気に触るみたい。

月河はむしろ、あのこってりビカビカ化粧顔で“プールに入る”ってのが生理的にイヤですね。もちろん水中でも、激しい運動をしても剥げ落ちない特殊メイクなんでしょうけど。なんか、田舎の色気ババアの温泉ツアーみたいなんだもの。

………………い、いや、激しいトレーニングに耐えて立派に結果を出している選手の努力はどんな種目でも尊いと思いますが。フォローフォロー。

ところで、上述の中高年女性軍シンクロアンチ派に、「んじゃ、(『ウォーターボーイズ』みたいに)若い長身長脚好ガタイ男子のシンクロだったら観る?」と訊くと、たいてい「いやーーー…」と一瞬、二瞬みんな考えますな。

考えた後「笑っちゃって観てらんないと思う」「観ている自分を、人に見られるのがイヤ」「どんなに長身長脚好ガタイでも、不特定多数に見せて採点を仰いでる時点で不純な感じ。評価するに足る身体なら、私ひとりに見せてくれるんじゃないと」…おい!競技の話がいつの間にか肉体の話になってるんですけど。

まぁシンクロに限らず、「なんでこんなのがオリンピック競技なんだ」と思う種目は最近多いですね。23日前だったか、競輪界の“麿(まろ)”こと永井清史選手が銅メダリストとしてスタジオインタビューを受けててびっくりしました。いま、競輪も“ケイリン”として正式種目なんですね。だったら競馬も、競艇もやるべきですよね。金銀銅の3連単。楽しみだなあ。誰が売るんだ馬券舟券。

トランポリンがあるなら、ウンテイなんかあってもいいんじゃないかな。やっぱりアフリカ勢が強いか。ジャングル…いや、偏見ぽくなるからやめとこう。

女子ソフトボールがあるなら、男女混成でドッジボールもやりましょうよ。ビーチバレーやるなら、スイカ割りも必修でしょう。

小中学校の体育や運動会でやってることは、みんなオリンピックにしちゃえばいいんですよ。玉入れとかね。棒倒しも。騎馬戦は月河の頃には廃止になってたけど。運動会と言えばフォークダンスだろう、って人が絶対いそう。やるか200何ヶ国参加でマイムマイム。

そんなこんなで(どんなどんなだ)オリンピックもやっと終章入りです。日本としては、あとは星野ジャパンぐらいか。「延長いきなり一・二塁からタイブレークなんて、あんなの野球じゃない。どうやって一塁二塁になったのか、死四球かバッテリーエラーか、クリーンヒットの連打か、ワンヒットワンエラーか、長打プラス短打か、それとも短打の次に犠打か、何球めに犠打成功したのか。そういう流れがあって初めて野球の試合だ」と、楽天の野村克也監督辺りが見てたらさぞかし仏頂面でしょうね。「そんなゲームまがいの放っといて、マーくん早く帰ってこい」なんてね。月河が代わりに書いときました。ついでに、稲葉ダルビッシュもとっとと帰ってきて。

こちらのマーくんはいきなり結婚して戻ってきました『白と黒』37話の聖人(佐藤智仁さん)。それも一葉(大村彩子さん)と、相手もあろうに…と言っても、このドラマの人間関係じゃほかに目ぼしい選択肢はないので、意外性はほとんど無し。聖人が結婚した相手として、聞いて掛け値なしオーッとのけぞる相手と言ったら家政婦路子さん(伊佐山ひろ子さん)ぐらいのもの。

つまりドラマ的にはこの結婚は、サプライズではなくあくまで礼子(西原亜希さん)と章吾(小林且弥さん)が、知って、目の当たりにしてどう反応するかを見せるためのもの。

留学帰りでかつてのブリブリは影をひそめ、シンプルな白ブラウスでしっとりした雰囲気の一葉に、聖人との“二人きりで神の前に愛を誓った結婚式”の写真を見せられた章吾の複雑な表情からは「一葉には昔、ヤバいことをしたんだよな」から「あのダメ弟の聖人と一緒になってこんなに綺麗に、尽くし型になるってあり得なくね?」という釈然としなさ、「俺、惜しいオンナ手放したってことかよ、俺としたことがそんなバカな、なぁ?」の自問自答、さらには「こんなにノーガード幸せまる出しの顔、俺の嫁の礼子は見せたことあったっけ?」との焦れったさも微量垣間見えてなかなか雄弁でした。

対して礼子の、更生後聖人を見つめる表情からはあまり余情が滲み出ませんでした。昼ドラ史上、ヒロインが“長く姿を消していて、以前とは一変して再登場した元恋人(ないし準恋人)”と再会する場面は作品の本数だけあると言っても過言ではないのですが、37話の礼子は残念ながら“胸を打たないほう”から数えたほうが早かった。怪訝、怖れ、憐れみ、章吾の前での微量の居心地悪さ、そして何より心の奥底に沈澱させた愛しさの揺れ戻し、忍ぶれど色に出にけるものは山のようにあったはずなのですがね。

聖人も北京にいる田中のマーくん並みに、丸刈りにしての再登場だったら、結婚とか更生とかソムリエとかよりも、直球で視聴者の目も礼子の目もまんまるにできたのにね。そのへんのリアリティ不足が“昼ドラ仕様のムショ帰り”のつねですが。

ところで昨日35話に来た再放送中『その灯は消さない』でちょっとした発見。信州・松本の、藤夫(柴俊夫さん)の亡き先妻実家=高瀬家の造り酒屋を切り盛りするプラウドお祖母ちゃん・芳枝(東恵美子さん)のお抱え運転手奥村役で、『白と黒』第一部では東谷湿原の地主・安達さんとして何話か登場された卜字たかおさんの顔が見えました。ひょろっとした体躯と禿げ上がりめの頭部、愛嬌あるギョロ目が特徴で、『相棒』『はぐれ刑事純情派』などテレビ朝日系の事件ものでもしばしばゲスト出演される俳優さんです。96年当時はさすがにいまより若干黒々とされていたかな。12年で大奥様に「オクムラ!」と呼び捨てされる運転手から、無償貸与の太っ腹地主に出世。でもこっちでも奥さんに頭上がらないみたいでしたね。

この13月『安宅家の人々』放送中はこの再放送枠が『真夏の薔薇』で、沼崎悠さんの医師姿二連発ってこともあった。

ついでながらパワフルお祖母ちゃん東恵美子さん、お芝居の厚み・迫力からみて相当の芸歴なんだろうなと思って、軽く調べたら、78年の田宮二郎さん版『白い巨塔』の東教授(故・中村伸郎さん)夫人役をなさっておいででした。あーちょっと記憶あるかも。娘の佐枝子役が島田陽子(現・楊子)さん。03~04年唐沢寿明さん版では高畑淳子さんが扮したあの俗物虚栄マダムです。高畑さん版では軽く笑える、ツッコミどころある愚かしマダムでしたが、東さんの東夫人は、佐枝子に縁談を強要する態度とかかなり“ガチイヤ”な強権恐怖政治夫人でした。

『その灯』の芳枝お祖母ちゃんはそれに比べると筋を通す姿勢や、人間観察の確かさ、身内がひとり去りふたり去る老境の寂寥感なども漂わせて、取りつくしまが無いでもない、むしろ状況によっては頼りがいすらある感じ。

こうしたベテランさんの演技上の匙加減、微妙なハンドリング出し入れを拝見すると、やはり「ドラマは脚本、二に脇役」の感を深めます。本放送中『白と黒』もメイン4人こそ新進気鋭ですが、脇は重厚な、あるいは器用な、巧者なベテラン揃い。いよいよもって「あとは脚本か?」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする