シンクロ・チーム日本は5位、メダル無しの残念な結果に終わりましたが、“龍”の字のでっかい縫い取りつき水着はインパクトありましたね。「漢字ならウチらが本場のことある」とばかり中国チームも“華”の字を染め抜いたのをテクニカルルーティンで着てました。
確かに漢字のイメージ喚起力はギリシャやローマ文字アルファベットの比ではないですが、パッと見、ヤクザ…とまでは言わんでも、“族”とかデコトラを思い出させるセンスでしたな。ベースがキンキラ光りモノだしね。
文芸評論家・翻訳家・作家として昭和の一時代を築いた澁澤龍彦さんが、「(自分の名前がときどき“竜”彦と表記されることがあるが)“龍”なら爬虫類だが“竜”では両棲類になったような気がする」とどこかで書いておられたのを思い出しました。そういうイメージ規定力、書き換え力もあるんですね漢字には。
直前の演技順でライバル中国の完璧な演技を見せつけられ、極度の緊張の中で演技し切って、終わった途端に失神しちゃった選手は生きた心地がしなかったと思いますが、あれで減点されたわけではないしね。キラキラ水着の美脚美女がぐったり水中から抱え出されるシーンは、マニアにはこたえられなかったのではないかな(月河は違うけど。違うっつったら違うけど)。
むしろチームフリールーティン用の曲が『沙粧妙子』『真夏の薔薇』サウンドトラックを愛聴させていただいている岩代太郎さん作曲のオリジナル曲、こちらをじっくり聞きたかったですね。オリジナル曲を使ってもいいルールだったのも軽い驚き。“和”やエスニカルな要素を強調した音のようでしたが、部分的には『沙粧』の中のあるチューンを思い出させる、人間の呼吸や心拍音に親しい“岩代さん節(ぶし)”だったと思います。
日本が銅だったデュエットとの通算なら、井村雅代コーチを引き抜いた中国とは1勝1敗。ハイキングウォーキングじゃないけど「妥当だよ」じゃないですか。前にも書いたけどどう見ても“王侯貴族の眼福”由来っぽいこの競技、「CG合成使っても、美少女にクチパクでも見てくれ押し倒し勝ち」を何とも思わない国に、普通なら日本、勝ち目はないですよ。
男子マラソンも日本代表2選手が揃って無事完走で良かった。年代は忘れたけど宗兄弟や中山竹通選手、瀬古利彦選手の時代に比べて、この種目での世界と日本との距離は確実に広がっている印象。土地勘ない異国の42.195キロ、2時間余~10余分をひたすら自分と葛藤しながら走り切る愚直なエネルギーの戦い、いまどき日本の若い男子がこぞって参戦、切磋琢磨する人気種目たり続けるとも考えにくい。地獄の猛暑ハイペースの中13位まで押し上げた尾方剛選手は、俳優の三田村邦彦さんの一時期にちょっと似てますな。
五輪が終われば気持ちの上では08年夏も終了。報道では今月初旬に、すでに10月からの昼ドラ情報も公表されています。
『愛讐のロメラ』(9月29日(月)13:30~)中日スポーツ、サンケイスポーツの各記事によれば、“ロメラ”はスペインの歌曲の一種で“巡礼者”を意味するそうです。本当かなと思ってネットを使いいくつか検索したところ、ウソではなかった(そりゃそうだって)。
アンダルシア地方の西の海に突き出す港町・カディス生まれの明るいカンテ(歌曲)の中でも最も古いものだとか。カディスって?アンダルシアって?と極東の日本人にはピンと来ないことはなはだしいかもしれませんが、高校時代、受験科目に世界史を選んだ人なら、かのナポレオン・ボナパルトのイギリス上陸を阻んだ英雄ネルソン提督のトラファルガー岬沖海戦を思い出していただければ、カディスはその近辺です(「ますますわからなくなった」なんつってるのは誰だ)(月河だ)。
04年の『愛のソレア』と非常に近似したタイトルセンスですが、思い返せば10月~12月クールのこの枠、どうしてもクライマックスが暮れの公私慌しい時期と重なるせいか、印象深い傑作にめぐり会うチャンスが少ない“秋枯れ”のようなシーズンになりがちだったと思います。『ソレア』のほか、03年『真実一路』、01年『レッド』なども、前半は見逃せない情念稠密度で運んで来て、後半の息切れ感、テンションばらけ感がなんとも惜しかった記憶が。
栄えある(?)東海昼ドラヒロインにこのたび抜擢のいとうあいこさん。特撮ウォッチャーの月河にとっては何と言っても03年『爆竜戦隊アバレンジャー』のアバレイエロー・博多育ちのらんるちゃんです。05年『貞操問答』も偶然数話見ましたが、ヒロイン役のさくらさんと顔立ちが似過ぎで、あまりうまみのない役どころだったような。
“ヒロインを盛りたてる”体勢作りにおいては一日の長がある東海枠で新たな一面が見せられるといいですね。相手役と思しき男優さんたちも検索かけるとモデル経験ありなど美形揃いですが、あんまりごちゃごちゃすると「らんるちゃんひとすじなのはワニだけですベルベルー!!」とヤツデンワニが飛び出してきそうな気がまだするなあ。