イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

Two run ドッと

2008-08-31 00:32:28 | 昼ドラマ

久しぶりにNHK朝ドラ『瞳』を観たら、ダンスビート落選後の瞳(榮倉奈々さん)が“プロのステージダンサーはひとまずあきらめて、地域の人たちにダンスの楽しさを教えることを仕事にしたい”と目標を切り替えているのはまあいいとして、画面的には中一になった友梨亜(森迫永依さん)ちゃんとその同級生たちのセーラー服姿、短パン&トレシャツでのダンスレッスン姿で、すっかり“ロリ萌えニーズ”御用達ドラマになっていました。

頑固なお祖父ちゃん(小松政夫さん)からのプレッシャーもあって“君はtoo shy”だった境野涼子ちゃん役山口愛さんは、笑うとクシャッとなるクチもとやアーチ型に細まる目もとが、80年代初頭の『金八先生』などで活躍した名子役伊藤つかささんにそっくりですね。当時伊藤さんファンだったおじさまたちが目をハートにして観ていそう。 

やっぱり、コレ言っちゃお終いというか敗北宣言になっちゃうけど、TVは子供と動物と料理」ですかね。いくら本職の眞木大輔さん連れてきても、ダンスだ何だ大人のやることは、キラキラ子役さんたちがウフフキャッキャし出すと色あせて見えてしまう。料理と言えば相変わらず、一本木家は夕食にバケツほどのボウル一杯サラダ食べてますな。

月河の年代では何と言っても“シラケ鳥”“(伊東四朗さんの)マイナー息子”が代表作だと思う小松政夫さんは、確か95年の朝ドラ『走らんか!』では加藤晴彦さんの父親役だったと思います。13年で中学生の孫を持つお祖父ちゃん役に。

この間には96年『age35 ~恋しくて~』で中井貴一さんの、オフィスラブ経験者上司ってのもあったな。あまり本数見てないため思い出せるのはこれぐらいですが、実年齢の加齢と仕事の役柄とのシンクロ制御に苦労している役者さんが多いと思う中(つい昨日も、46歳寺脇康文さんの『相棒』卒業がセンセーションを巻き起こしたばかり)、珍しいほどうまいこといっている人ではないでしょうか。コメディアンとしての芸歴が長く、本格的な役者スタートが中年になってから、というのも“加齢に振り回されない”勝因かもしれない。

体型や風貌が激変されていないのも強みでしょうね。お若い頃の“小モノ・頼りなキャラ”の片鱗をとどめたまま、白髪交じりが似合う、孫ラブお祖父ちゃん俳優へ。ある意味理想形ですよね。お身体に気をつけて長く活躍していただきたいものです。

さて、一昨日(28日)に、予約していた『白と黒』サウンドトラックCDがめでたく届きました。

まずはドラマタイトル映像そのままの、境界がうすらぼやけた白/黒のシンプルな表面と、広げると灰色のグラデーションになっているジャケデザインがクールで好感持てます。「どんなドラマのサントラ?」というところに予断も言質も与えない“閉じた”感じがいい。

もうひとつ、聴く前の段階で嬉しいのは、全27曲の各演奏時間が裏ジャケに明記されていることですね。これは本で言えば目次に相当するので、アルバムの編集上、必修だと思うのですが、なぜか、特にサントラ盤で演奏時間を載せていないタイトルが多いのです。なぜ?最近は音楽通販・試聴ダウンロードサイトで調べられるからでしょうか。

岩本正樹さん作曲のアルバムを聴くのは一昨年『美しい罠』、昨年『金色の翼』に続いて3作めです。『美罠』を象徴するのが湖面のようなさざめき感と揺動感、『金翼』が浮揚感・リゾート感だとしたら、今作は“光の移ろい感”だと思います。

ドラマ公式サイトで岩本さんご自身が今作のテーマを“情熱”と“視線”に置いてみた…と答えておられますが、主要人物のひとりが(挫折した)画家志望であり、物語の随所で“絵画”がキーポイントになっていることも念頭におかれていたかもしれません。

深い水を湛えた淵の、日向と日陰。昼と夜。黎明と黄昏。対立するふたつの姿としてではなく、あわいに無数の諧調を含む動態として、岩本さんの曲はとらえています。音楽上の長調/短調とは別の意味で、“これは暗い曲”“こっちは明るい曲”と二分法で考えないで、軽快な音の下に諦観と哀調を、深閑とした音の中に強靭な決意を、悲愴な音の奥深くに希望と祈りを、覗き込むように、掬い取るように聴くべきアルバムでしょう。

無理矢理単体で言うと、M‐3“綴れ織り”の祝福された豊潤さ、劇中で初めて流れたときに「今年もマストバイ」を確信したM15“棄てられた絵画”の沈潜した弧絶感が格別たまりません。後者はヒーローものやギャングスタ映画にもマッチしそう。

後半に入ってのM20“白いブラウス”~M24“枯れた花と小さな瓶”に至る、痛ましい明澄さ、うまく表現できないのですが「匹夫の勇」「朝雨女の腕まくり」とでも言うべきか、「頑張ってるけど人間って弱いものだよね」「でもその、弱くても頑張るところがいいんだよね」と微笑とともに呟いてしまう美しさも催ヘビロテ性が高い。

また、ラストM27主題歌『ひかり』インストヴァージョンが、こう言ってはなんですが意外な拾い物でした。この枠のドラマ以外のサントラも含めて、いままで聴いた“主題歌のインスト”の中でいちばん充実していると言えるかも。いつも砂川恵理歌さんのヴォーカルで、タイトルかぶせでちょっと流れてから本編に入ってフェードアウトしていく形で聴き慣れている部分の、後に入る所謂“(イントロならぬ)中トロ”がすばらしい広がりを見せるのです。原曲であるプッチーニ『トゥーランドット』の主題が、歌詞の当たっている部分よりも活きている。光あり影あり、日の出あり日没あり、闇夜あり炎昼ありのアルバムの締め括りの位置に入れるのにふさわしい曲だと思います。

コメント
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