計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

2012年もあと10日を切りました・・・。

2012年12月23日 | オピニオン・コメント
 いよいよ冬も本格的になってきました。

 ふと、外に出てみると、忘年会やクリスマスに浮かれモード全開の、楽しげに奇声を発する人の群れをあちこちで見かけます。その一方で、そのような世間の賑わいとは離れて、日々の務めに励んでいる方も数多くいらっしゃいます。あー、この社会は色々な仕事がつながりあって成り立っているんだな・・・という当たり前の事に気付きます。

 例えば、食を育む人もいれば、物を作り出す人もいます。そしてこれらの品々を売る人がいて、買う人がいます。また、人々に夢や感動を与える人、色々な生命を支える人、困っている人に手を差し伸べる人もいます。このように、自分の仕事が誰かの役に立ち、喜ばれ、その「ありがとう」の想いが、やがて自分にも返ってくる・・・「経済活動」の本質や出発点は本来、このような「ありがとう」の交換にあったのではないか、と私は思います。それはすなわち「ありがとう」の「ギヴ・アンド・テイク」です。自分が社会の中で、どのような形や立ち位置から人々に喜びや夢、そして感動を与えるかは、自分で選ぶことが出来ます。その時に自分を支える基礎・土台となるのが、これまで学んできた知識や、実際に自分の心と身体で歩んできた経験の一つ一つです。

 人は「自分が積み重ねてきた知識や経験の枠の範囲」でしか、物事を理解したり、思考をめぐらす事が出来ません。つまり、狭い知識や価値観しか持ち合わせていなければ、その狭い範疇でしか物事を理解したり、考えたりすることしかできません。だからこそ、より多くの知識を学び、様々な人々と交流し、自らの糧として行く必要があるのです。それはすなわち、「自分の持つ知識や経験の枠」そのものを大きく広げるという事。もちろん、だからと言って無責任な他人の意見に無闇に同調する必要はありません。確かに、TPOに合わせて「空気」を読む事も必要ですが、基本は「和して同せず」であろうと思います。大切なのは、考えるための「材料」や「道具」を得る事。そして何よりそれらを駆使して「自分の力」で考え貫く事。たった一つの「決まったコタエ=正解」のない未来においては、自分の持つ知識や経験を広げ、それを土台に自分の力で考え、自分なりの答えを見出せる事が重要になってくる筈です。

 自分が社会の中で、どのような形や立ち位置から人々に喜びや夢、そして感動を与えるかは、自分で選ぶことが出来ます。しかし「自分で選ぶ」ためには、そのような立ち位置まで「自分の力で登り詰めなければならない」という事でもあります。登らなければ、選ぶための「選択肢」さえ与えられません。そして、選べる立場になったら、今度は「自分で決断しなければならない」という事でもあります。自ら決断しなければ、無責任な他人の意見に流されてしまいます。「自分の進むべき道を見出し、自分の力で歩む」と言うのは、確かに「自由」という事ではありますが、その「自由」の恩恵に預かるためには、相当の努力が要るという事なのでしょう。何と言っても「自らに由る(みずからによる)」と書く位ですから。

 自分の人生の「自由」は、「他人が」与えてくれるわけではなく、「自分で」獲得していくものなのかもしれません。そうであるならば尚の事、「自分の頭で考え、自分の心と身体で行動し、そして最後は自分の意志で決断する」ための基礎力を培う事の重要性が再認識されるでしょう。そして、その根幹を成すのは、日々のたゆまぬ歩みに他なりません。

 歩みを止めたその時から、自分の人生の軸を失うのかもしれません。日々の一歩一歩は小さくても、それでも長く続けること。

コメント
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