計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

エ!?もう12月!?

2006年12月05日 | 気象情報の現場から
 キターーーー!!/(◎O◎)\

 実は、この季節は楽しい楽しい予報精度検証報告書の作成時期。毎年新しい予報内容が増殖してきますので、新規項目についての評価は一苦労です。気象庁から配信されてくる膨大な予報・観測データ等を基に分析作業が続きます。学生実験のレポート漬けの日々と言えばイメージしやすいかもしれません。実験の手間が無い分マシと言えばマシなのですが(爆)。でも、予報誤差の一つ一つの原因について見解を導くのはやはり一筋縄ではいきません。

 どのような時に予報が外れやすいのか、原因は系統的な誤差なのか、それとも局地的な気象特性によるものなのか・・・。そして、どのような点が改善されているのか?様々な観点から切り込んでいかなければなりません。また、精度評価手法も多種多様にありますので、それらも同時に勉強していかなければなりません。毎年毎年新しい予報内容が出てくると、まずどのように検証するか、という問題にもぶち当たります。毎日が暗中模索です。

 この分析を行っていると、局地気象の予測の難しさを痛感すると同時に、地域特化型の局地気象モデルの実現の必要性を感じます。今年は24時間体制もあり、特定用途向け局地予報配信業務も経験しただけに、局地予報の面白さと恐ろしさを体感しました。

 そういえば、CAMJ仙台にも4月に行ったきりで今年も終わってしまいました。3次元乱流数値シミュレーションによる山形県内の冬季局地風の再現に関するテーマで研究発表をしましたが、山形県内についての再現は成功したのですが、宮城県内の強風が再現されていない、と指摘を受けたままになっていました・・・。でも、肝心の原因については、もう分かっていました。当時のシミュレーションにはある方程式が未だ搭載されていなかったのです(ある意味、いい加減な奴だなあ・・・と我ながら思う)。この方程式を入れて計算をやり直した所、宮城県の風もそれらしく再現される事が確認できました。この詳細は、次に仙台に行く時の発表テーマにしようと思います。

 このように、強風域の発生でも特定方程式の有無によって再現されたりされなかったり、という事は宮城県の冬の強風とこの方程式には何らかの関係がある、と睨む事も出来るわけです。こうやって、局地気象と様々な要因を理論的に解析できるのも数値シミュレーションの魅力。こんな技術を実用化できたら、確かに予報誤差の原因究明にも役に立つでしょう。

 しかし、その一方で数値計算の本質を研究しているために、その限界をもまた知っているので過大な期待を寄せる事も出来ないのです。最後は人間の感性の世界になってしまうのです。感性の自由度を合理的に狭めるのが、数値予測なのかもしれません。

 数値予測は感性の自由度を狭める事によって、選択肢を大幅に絞り込んでくれます。しかし、最後の究極的な決断までは代行してくれません。むしろ、代行させてはならないのかもしれません。数値計算の限界を踏まえた上で、数値予測結果を修正するのが人間の成せる業。このためには精度検証が必要不可欠なのです。

 ところで、この報告書の提出期限って・・・?(恐)

 さて、この報告書が提出されるのと前後して、ささやかな忘年会、そしてシングルベール、シングルベール、鈴が鳴る~♪でクリスマス。

 それが終わると、ようやく年末年始・・・。ン?年末年始って言ったら・・・アレですよ!アレ!

 全然考えてなかったーーーー!!/(◎O◎)\ガーーーーン!

・・・ま、なんくるないさあ!
コメント
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