退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

「科学の社会学化」について

2011-05-26 02:00:10 | Weblog
晴れ。気温の変化がやや激しいのか。

藤井直敬「ソーシャル・ブレインズ入門」を読む。

「自己と他者の脳が作る社会を前提として、その社会に組み込まれた状態の脳のしくみをとらえる」
という考え方のことを言うらしい。

著者はどうやら「学問に関する『閉所恐怖症』」らしく
「ハブ=多様なつながりを持つもの」になるような話題を提供した模様。

「権威ある指令者」に従って被験者に電流を流す「ミルグラム実験=アイヒマン実験」や
映画「ES」の元である「スタンフォード監獄実験」についてはいずれも知っておいて損はないはず。

科学の基本的な用語として
「定性的=主観的」「定量的=客観的」という意味も同様に。

ミラーニューロン」についても出てくるので
それに対する考え方をどう評価するのかも興味深いところ。

あまりに人工的な環境の中での実験の結果と
脳の特定の部位に特定の機能を当てはめることを重視しすぎるのはどうかというのが基本的な態度。

要はいたずらに「タコ壺化」するより
もっと「オープンな視点」を確保しておこうというもの。

「量子力学」など持ち出して「観察者の存在が対象を変える」と言うまでもなく
人は置かれた環境によって態度や視点をいくらでも変えてしまう存在であることを再認識しておこうと。

個人的な印象としては「科学の社会学化」という感じ。
「時代の流れ」を見ていれば当然出てくる考え方だと思われる。

著者の前作で未読の「つながる脳」の方がおそらくわかりやすい内容なはず。
本書はやや「風呂敷を広げすぎた」ようで著者の思いとは逆に素人にはとっつきにくいのではないか。
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