退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

「『高級少女趣味』の洗練と戦争がもたらす『穏やかな狂気』」について

2020-04-08 02:03:35 | Weblog
晴れ。おだやか。

中野翠「アメーバのように。私の本棚」を途中まで再読。

著者との「お付き合い」も30年以上になるのか。
「『高級少女趣味』の洗練ぶり」を観察してきたことにもなり。

「自らのセンス」を信じて走り続けてきた姿にふむふむ。
あれこれ教えてもらったことも少なくなく。

落語や山田風太郎あるいは古書の「吸収の速さ」よ。
いつの間にかスルスルとといった趣き。

こういう人物がそばにいると助かるはず。
「違い」が明確になることによって「自分」がわかるから。

明日読了予定。
以前読んだ時とはずいぶん異なる印象を受けた次第。

アンリ・コルピ「かくも長き不在」(’61)を久方ぶりに再見。

パリでカフェを営む女主人は恋人とのバカンス直前にある浮浪者を知る。
彼はかつてゲシュタポに捕まり行方不明になった夫そっくりでというお話。

記憶喪失になった彼の記憶をどうしても蘇らせたい主人公の情熱よ。
夜通し彼を追いかけ翌朝には話しかけついには店に呼び。

それでも彼の記憶は思うように蘇らないまま。
食事を提供しその後のダンスの途中で彼の後頭部に深い傷跡があるのを知り。

店を出た彼に「アルベール・ラングロワ!」と叫ぶアリダ・ヴァリは記憶と違っていた。
やはり観直してみないといけませんな。

ラストの彼女の台詞がなかなか。
彼が本当に夫であるかどうかもわからないというのに。

いや。

彼女の中では彼は間違いなく夫。
そして彼は「必ず戻ってくるはず」で。

「戦争がもたらすもの」をこうしたかたちで描いた作品は
わが国だと「岸壁の母」になる模様。

さすがにフランスが舞台だと「親子」でなく「夫婦」になるという具合。
「穏やかな狂気」が何とも哀しい。
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