軌道エレベーター派

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「プラネテス」の描写

2022-01-08 12:17:45 | その他の雑記
 昨年、「三体」を紹介した際に「プラネテス」のアニメ版について触れましたが、そのプラネテス(以下「本作」)、あすからNHKで再放送するそうです。
 アニメ版は原作とストーリー展開が大きく違いますが、ヒロインのタナベの人物像の掘り下げや、アニメオリジナルキャラクターの配置など、独自の見応えがありとても楽しめます。
 そして何よりも、宇宙空間の描写で「嘘の音」を入れてないんですね、これが素晴らしい。この点については過去にも触れましたが(「気になる『宇宙兄弟』の音」「『ゼロ・グラビティ』観てきました。」)、空気のない宇宙では、音が伝わりません。通信か、直に接触して伝わる音くらいです。しかし、ほぼすべてのSFやスペースオペラ作品は、それじゃ盛り上がらないので嘘の音を入れています。

 しかし本作は怖れることなく、宇宙空間の無音を描写しています。そしてその無音こそが作品をこの上なく引き立てている。「ここに音を入れるのはおかしくね?」という場面もほんのわずかあるのですが、ほぼすべて無音の描写が正確で、自分の知る限り、このようなアニメ作品は、ほかに見たことがありません。
 ほかにもセリフだけですが宇宙服の減圧に触れているとみられる場面もあり、原作付で時代設定が近未来であるとはいえ、リアルな作りになっています。

 世の皆様は、真空の宇宙で音が伝わる嘘にすっかり慣れきっていることでしょう。アニメ版「プラネテス」はドラマの面白さはもちろん、無音の宇宙の描写だけでも一見の価値ありです。あす午後7時からだそうです。

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