軌道エレベーター派

伝統ある「軌道エレベーター」の名の復権を目指すサイト(記事、画像の転載は出典を明記してください)

「宇宙シルクロード実現に向けた取組み -軌道エレベーターによる宇宙物流と惑星開発-」開催

2021-01-31 08:12:03 | ニュース
 日本大学理工学部図書館の公開講座「宇宙シルクロード実現に向けた取組み -軌道エレベーターによる宇宙物流と惑星開発-」が27日、オンラインで開催された。
 講演者は同大理工学部長の青木義男教授。青木教授はクライマー開発や、静岡大などと共同で取り組んでいる軌道エレベーターの実験衛星計画「STARSプロジェクト」などにもかかわるなど、軌道エレベーター技術の専門家としても知られる。

 講演では、まず民間による低軌道往復や、月面回帰の国家プロジェクトといった近年の宇宙開発・産業の動向を紹介。
 その後、STARSプロジェクトや2017年に日本学術会議のマスタープランに採用された「宇宙インフラ整備のための低コスト宇宙輸送技術の研究開発」や、自身が指導する学生らによるクライマー競技の成果も紹介しながら軌道エレベーターを解説し「こうした取り組みには、惑星開発の意味合いも多く含まれている」と語った。

 さらにその惑星開発について、火星に軌道エレベーターを建造する構想に触れ、地球より重力が小さく、フォボス、ダイモスの二大衛星が建造の足場や資源活用などに役立つことを説明。「宇宙ステーションを造らなくても、ここ(ダイモス)から既存の材料のケーブルを降ろすことで、火星の地上まで到達する」とした。
 青木教授は月面探査のローバー技術開発の現状などが、こうした惑星開発にも貢献するとして「これから学ぶ若い人や、投資家などにも、次世代のテーマとして宇宙開発を視野に入れてもらいたい」と語った。
(軌道エレベーター派 2021/1/31)


(以下は軌道エレベーター派の雑文です)
 青木先生には昔からお世話になっていて興味深く聴講しましたが、今回は全体として入門者向けのやさしい内容で、広く浅く紹介した感じでした。

 特に、タイトルにもある「物流」に関しては、軌道エレベーターが実現した際に利用できる軌道カタパルトが重要な役割を果たすのですが、今回はこうしたインフラが実現すれば惑星間の物流も可能になる、という示唆にとどまっていました。これは約1時間という講演時間の制約からすれば仕方ないことなのでしょう。物理学的な説明も必要で、少々難しいかも知れないし。

 それにしても我が軌道派としてうれしいのは、タイトルにもあるように「軌道エレベーター」の名称を使っておられることであります。
 講演後の質問タイムに大急ぎで「『軌道エレベーター』と『宇宙エレベーター』、区別して呼んでいるのでしょうか?」と送信したら即座に回答してくださり、「『宇宙エレベーター』と呼ばれているのは、地球から宇宙に向けて動くものが呼ばれることが多いが、きょうは火星や小惑星帯に造ろうとなると、根拠になるのは静止軌道や任意の軌道なので、技術の幅が広いという意味で、『軌道エレベーター』がより汎用的ではないか」と述べておられました。
 青木先生、ありがとうございました。
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