軌道エレベーター派

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JAXAとトヨタが、与圧式の有人月面探査車を共同研究へ

2019-07-27 09:26:50 | ニュース
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)とトヨタ自動車は、月面での使用を想定した「有人与圧ローバ」の共同研究を行うための共同研究協定を締結した。

 月面探査や月資源の利用可能性の調査などを目的に、車内が与圧された状態で仕様できる密閉型月面探査車を共同で研究。2021年度までに、技術要素の洗いだしから車体の試作、試作車を用いた実験や評価行うとしている。
 今年はアポロ11号の月面着陸から50年にあたり、米国の「アルテミス計画」や「月ゲートウェイ計画」などで月面回帰が叫ばれる中、国際協力による月探査に寄与して、日本の存在感を示す狙いもあるとみられる。(軌道エレベーター派 2019/7/27)


(ここからは軌道エレベーター派の雑記です)
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 さて、有人の月面探査車の開発を自動車メーカーと共同で行うというものですが、個人的に注目したいのは「与圧」という点です。
 アポロ計画でも有人の月面走行車「ルナビークル」が使われましたが、これは宇宙服を着て乗るオープンカーでした。今回発表されたのは、内部に空気がある、いわば車輪が付いた宇宙船のようなものですね。

 現在の船外活動(EVA)用宇宙服というのは、着用して外に出るまでに何時間もかかる、ということを以前の記事で書きました。現在使われている宇宙服は、内部気圧が0.3~0.4気圧程度しかないので、宇宙飛行士は何時間もかけて低い気圧に体を慣らしてからでなければ、宇宙服を着てEVAなんてできないのです。
 映画やアニメで描かれているような、あっという間に宇宙服着て真空の宇宙空間に出るなんて真似は、現代の宇宙服ではできません。未来のお話ならともかく、現代の宇宙活動を描いた作品で、あっという間に宇宙服を着てEVAやる描写があるとしたら、それ嘘だから。

 ですので、宇宙服の改良も待たれますが、EVAは作業の大半を車載のマニュピレータや遠隔操作のロボットに任せた方が現実的でしょう。そこで、月面のような接地して移動できる場所であれば、今回のニュースのような与圧式の乗り物が重要な役割を果たすと思われます。

 「宇宙兄弟」で、せっせとEVAして月面望遠鏡を設置などしていますが、あのような作業を、こうしたローバーでやれば効率的かもしれません。作業場所付近まで行き、人間は車内にいたまま、有線の遠隔操作ロボットのような機器で作業をすれば、減圧のために時間をかける必要ななくなるというわけです。
 宇宙服の開発の方向性は、極論すれば宇宙服がいらない、EVAはやらずに済む、という方向へ進むべきであろうと考えます。その方が安全だし。

 今月でアポロ11号の月面着陸から50年。月面回帰が叫ばれる中、再び有人月面探査をやって、本気で月面探査や開発を進めていくなら、こうした機器が欠かせないでしょう。今後の進展に注目したいところです。
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